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イラスト:松田くん(小説『Drive to Pluto』登場ネコ)

膝に猫を受けてしまってな。

前回のブログ記事 今月の活動報告 2023年11月 で月末の11月30日が誕生日であると猛アピールした結果? なんかちょっと信じられない点数のファンアート・ファンフィクションや、オマージュされた作品を制作していただきました。本当にありがとうございます!

作品リンクを交えながら1点ずつ紹介していきます。

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深夜さん作・小説『首の夢』第15話「猫」

深夜さんが11月中に連載していた連作短編小説『首の夢』に、山川夜高作品をモチーフにした作品があります。

▼深夜さん
Twitter @bean_radish

 

該当作品は第15話『猫』です。
https://kakuyomu.jp/works/16817330666164694446/episodes/16817330666940531751

 

第15話『猫』は11/15に投稿された作品ですが、私が連載ものの作品を読む能力に欠けている(どんなに面白い作品だとしてもリアルタイムに放送を追うことができない)ため、 深夜さんの発言を偶然目にする まで自分モチーフの作品があることを知りませんでした。

当然ながら私にとっては寝耳に水の話でめっちゃくちゃ驚き、1話が独立した連作短編であるのをいいことに、最速で山川の話を探し出してやろうと目論みました。
山川つったら鳥やろと『鶺鴒』を読んでみたのですが違いました(確信を得られない)。
じゃあ他にオマージュされているという 風野湊さん モチーフの作品を探そうと思い、風野さんつったら猫やろと『猫』を読んだらこっちがそうだったので膝に猫を受けました。

前回のブログ記事でも書きましたが、カメオ出演の贅沢さにとても驚きました。
緞帳の向こう側にいる彼らだけでなく、第四の壁のこちら側の観客たちもまた、実在する読者たちその人なのでしょう。

それでもってただ1匹だけ、緞帳の向こうからこちら側に顔を出してくれたあの子が嬉しいです。
大きな図体の割に繊細な鳴き声をしているという点を拾った上に、素晴らしいダブルミーニングを重ねてくれてありがとうございます。しゃべった……!

 

首の夢』を通読すると、次々に語られる奇想のバリエーションに舌を巻きつつも、その語り口はカフカやボルヘスめいて抑制の効いた文体がめっちゃくちゃ良いです。深夜さんに一番似合う出版社は国書刊行会……

一旦15話まで通読し、各話が輪唱のように重なって、得体のしれない大きなエネルギーのように小説全体のうねりを堪能しています。

こんな大舞台に私の作品の風景を招いていただき、本当にありがとうございます。

 

深夜さんによるオマージュに気付いたのが11月末のせまる28日ごろの話。かくして膝に猫を受けた11月末だったのですが、このあと続けて膝に猫を受ける羽目になるとはまだ思いもしなかったのでした。


些々細さん作・絵

些々細さんに「言うだけタダだから聖(Drive to Pluto)かX(小説『Cipher』)が見たい!」と言ったら両方とも描いて頂きました。

▼些々細さん
Twitter @_ntn_slp
Misskey @_ntn_slp@misskey.design

Misskey投稿版:
https://misskey.design/notes/9mngmuysp1

 

時々公開される描き途中の様子でレコードショップ(高価買取 ミュージックささい)を描いているのは見ていたので、些々細さんのキャラクターの名久井さん(レコードショップ店長)の絵かな? と思っていたら聖の絵でびっくりしました。

些々細さんのふだんの創作は仮想盛岡を舞台にしているのですが、この店の面構えは中央線沿線の三鷹〜神田あたりの雰囲気を感じました。
伺ったところ、本当にゼロ年代東京の「あの頃」ライクに描いてくださったようで、それが鑑賞者の私に伝わる絵というのが素敵だなと思います。古いタイプのガチャポンがいいですね。

ポスターという設定でXもひっそりと描いていただきありがとうございます。
ポスターを見た第一印象は「出世したなあ……」でした(たぶん生涯、音源を制作することのない人物なので)抑制された色調にジャズアルバム特有のトーンを感じます。

そのほかのポスターにも私が気付けない元ネタがありそうで、画面に目移りして飽きません。

それでもって店の入口を堂々と塞いでいるねこちゃんと、ねこちゃんに便乗して堂々と店の入口に座り込んでいるだめな人間ですよね。
黒猫の鼻のあたりのビロードみたいな毛並みがかわいらしいです。

些々細さんの絵柄は頬が丸いので、聖が私の絵柄よりもかわいいです。でもやっぱり表情や態度に、毒っけというか、人馴れしなさを感じられて、かわいすぎなくて良いなあと思います。

 

世界観をまるごと描いてくださった力作を頂きありがとうございました!

そしてこの絵もまた奇しくもねこちゃんだったのです。


風野湊さん作・小説『Gymnopedie』

深夜さんと些々細さんから連続して膝に猫を受けて訳が分からなくなっていた誕生日の夜、風野湊さんから何やら大変そうなものが届きました。

▼風野湊さん
サイト 呼吸書房
Twitter @feelingskyblue
Misskey @feelingskyblue@misskey.design

小説『Gymnopedie』

 人間が大勢暮らすところには猫がいる。これは必ずと言っても過言じゃない、どんな世界でも不変の法則だ。もし例外が存在するとしたらそうだな、地獄くらいじゃないか。行ったことないから知らないけど。でも、もしほんとうに、地獄が数多の罪人でごったかえす大都会だったとしても、そこに猫はいないだろう。そういうことになっている。

 だからその街にも猫はいた。極彩色のパレードが連日ひしめく娯楽の街、劇場に支配された演劇の街、虚構と快楽の魔法の街に。

https://kokyushobo.com/novel/for-cipher/

経緯を説明すると:
私は「ドライでなぜか笑いどころさえある文体で、シリアスな出来事を(悲壮感へのフェティシズムに耽ることなく)真摯に描いている小説」を「ドタバタシリアス」と呼んでおり、まあこれは要するにトマス・ピンチョンみたいな文体のことを指すんですが。乾いた強風のような。

風野さんの文体のシリアスさは、人当たりの良い優しい笑顔の内奥に誰にも触らせない「野蛮」(近代文明のシステムから「野蛮」の烙印を押されて排除されてきた野生または自然、それは近代文明社会からは「狂気」に見える)が優しいあの人の内側からじわ、じわ、と滲んでくるようなところが特長で、こう書くと「無理に作家の持ち味と違うこと(ドタバタシリアス)をさせなくていいじゃん」と今は思うのですが
それはともかくとして私は風野さんに『Drive to Pluto』のような角度の小説を書いてほしくてリクエストしまして。

だから、もし書いて貰えるならDtPのなにかだと思っていました(例えば『オトノヨキカナ』の冒頭のような)

 

……『Cipher』の二次創作が来て本当に驚きました。

タイトルの「ジムノペディ」から感じる苦味が「ドタバタシリアス」ではなく「シリアス」の味わいで、ページを開けるのに勇気が要りました。

作品の感想はMisskey.designで書いたのでそちらをご覧ください。

感想
https://misskey.design/notes/9mshe3d57k

感想・追記(サティの楽曲「ジムノペディ」について)
https://misskey.design/notes/9mshfm15l9

 

風野さん側の感想(あとがき)はこちら。
https://misskey.design/notes/9mrrd1872b

 

ところで、二次創作作品を原作者自身が読者へ宣伝するのは一体どうなのか(読者に特定の解釈を押し付けてはいないか)という心の葛藤は抱いています。

ただ本作が作者に見られて困る内容ではないこと(作者宛に書かれたファンフィクションであること)や、制作者側がイラストコンテストなどを開催してファンダムと交流する作品も多々あることから、今回はこの作品の紹介をすることにしました。

ファンフィクションである以前に「風野さんの小説」が上手いので、みんなに読んでほしいという理由もあります。

感想にも書きましたが、先に引用した序文と、“冬の嵐という陰鬱を、蝋燭の灯りで毅然と退けるような”という吹けば飛ぶような頼りない明かりなのに「毅然と」している比喩表現が素晴らしく、良い小説だとしみじみと思います。

 

ありがとうございました!


小町紗良さん作・小説2作

風野さんから猫を贈り届けられて頭がはてなマークでいっぱいだった頃、小町紗良さんからも急にクロスオーバー小説を贈られて目が点になりました。

▼小町紗良さん
リンク集 https://lit.link/srxxxgrgr
Twitter @srxxxgrgr
Misskey @srxxxgrgr@misskey.design

 

アシュレイさんと青野

作品ページ:
https://misskey.design/notes/9mou3ayqsu

人が多くて狭くて湿っぽい。それがトーキョーの印象だ。
なんかベーシストだけ集められるわけのわからないイベントに招かれ、思いのほか楽しんだあと、この街に放り出されるとどうしたらいいかわからなくなった。

小町さんの架空のジャズバンド little black dress のベース・アシュレイさん(芸名:ロリータ)と、
山川作の架空のインディーズ事務所ファイネッジレコーズ所属ロックバンド Drive to Pluto ベース・青野のクロスオーバーです。

文中「ベーシストだけ集められるわけのわからないイベント」は 2023/11/11 海辺新聞 掲載の「ヘ音記号のここ:投げ祭」です。
つまり本編ではなく与太話次元の話です。

 

私からの感想はこちら(Misskey.design投稿)
https://misskey.design/notes/9mowkwx8cj

「拓人くん……」のくだりは私も全く同じ反応をしました。

感想にも書きましたが、距離感がドライで、辛口ジンジャーエールのような味わいがあってとても良いです。

 

あわせて紹介:
以前別のきっかけで生まれたアシュレイさん&青野のクロスオーバーネタはこちら。

little black dress ツアーポスター
(サポートに聖が参加)
https://twitter.com/mtn_river/status/1598235478515675136

小町さん作
https://twitter.com/srxxxgrgr/status/1603022074083442689

山川作
https://twitter.com/mtn_river/status/1604285874253881344

 

そして作中には松田くんが登場しているので、この作品もまたねこちゃんなのでした。

 

ベリーちゃんと聖

誕生日近辺に頂いたファンアート/ファンフィクションが全部ねこだったことにおののく誕生日翌日の12月1日、なぜかもう1通小説が届きました。

……誕生日2日目?

作品ページ:
https://misskey.design/notes/9mq9pur62m

いつ来ても迫力のある街だ。人、建物、広告、音、何もかもが多い。
だから私みたいなキラキラピンクの異分子の1人や100人いるってものだろう。駅前の交差点を渡りきったところで、待ち構えていたかのようにカメラマンに声をかけられた。

小町さん作・小説『いちまつちょう』登場人物のラジオパーソナリティ・ベリーちゃんと、Drive to Pluto ギター/ボーカル・聖のクロスオーバーです。

そして登場するねこちゃん。ということは今日まで頂いた全作品にねこが含まれていました
こんなことある? ねこピックアップガチャ?

 

小説に話を戻すと、ベリーちゃん(頭髪がピンク色の女の子)と聖(よくピンクを着ている小柄な金髪)の組み合わせは「中学生の姉と小学生の弟」のような趣があると私は思っています。

ベリーちゃんが場にいる人や初めて見るもののことをすごくよく見てくれているきめ細やかさが良いな……としみじみと思いました。

聖はとてもこだわりが強く難儀な存在なのに、友達でいてくれてありがとう……

 

というか先日の作品に引き続き、小町さんの描写はファイネッジレコーズと親和性があり、社長が小町さんのキャラかというぐらい好き放題に動いているので楽しいです。

(私信・風野さんへ ドタバタシリアスっていうのはこういうのです。ねこちゃんは楽しかったですが少なくとも「ドタバタシリアスすなわちねこちゃん」ではありません)

「ッフ」は私も全く同じ声が出ました。


みんなありがとう

以前「小町紗良誕生日PUガチャ」を作った時、

「注意:一次創作者が一度に摂取していいファンアートの量を超えています。ガチャは1日1回を目処に、節度を持って回しましょう。」

と注意書きを書いたんですが、実際一度に大量にファンアートを頂くと訳わかんなくなりますね。

リリース:小町紗良誕生日PUガチャ

 

理解が追いつかなくなるのは嬉しい悲鳴なのですが、そのため作品を味わっている間もなくなるのでやっぱり理解が追いつかなくなり(同語反復)ものには限度がある と再認識しました。

まさかこんなに猫まみれになるとは……

 

それぞれの人生の貴重な時間を割いて、私のためになにかを作ってくれたという心配りを、本当にありがたいと思っています。ファンフィクションを書くために私の作品を読み返したと言った方もいて恐縮でした。

いずれの作品も、原作となる私の作品をとても尊重して書いてくれたことがわかりますし、読者を選ぶ要素もなさそうなので、私だけでなくほかの読者の方も喜んでくれそうなので、この記事で紹介しました。

 

作品に限らず、お祝いをしてくださった皆様ありがとうございました。

皆様も良い日々を過ごせますように。

 

お礼のイラスト

イラスト:松田くん(小説『Drive to Pluto』登場ネコ)

のすのすと視界の端、客と客との合間で動くものをとらえる。巨大な犬を狼のようなと呼ぶのはよくある表現だが、猫の場合はなんと呼ぶべきなのだろう。

第15話 猫 – 首の夢(深夜)

小説『首の夢』に着想を得て、支配人みたいなあの子を描きました。小説内の記述と、描いた内容は少し異なっています。にゃん。

 

イラスト:二次創作小説『Gymnopedie』(風野湊さん作)より着想を得て制作 X(原作小説『Cipher』登場人物) 猫来るからピアノ天板も閉めるようになっちゃった 猫のせいです あーあ でもチップはなぜか増えた……

イラスト:二次創作小説『Gymnopedie』(風野湊さん作)より着想を得て制作 0(原作小説『Cipher』登場人物)

すっかりバーに居着いてしまった野良猫が、友人の膝上で丸くなり、ふわふわした手のひらで目元を隠しながら熟睡している。猫は満足げにいびきすら掻いていた。ふてぶてしいというか、図々しいというか、物怖じしないと言うべきか。

Gymnopedie

小説『Gymnopedie』に着想を得て、くつろぐネコを描きました。にゃん。

Author : 山川 夜高

山川 夜高

libsy 管理人。DTP・webデザインを中心とした文化的何でも屋。
このサイトでは自作品(小説・美術作品)の発表と成果物の紹介をしています。blogではDTP等のTIPSを中心に自由研究を掲載しています。
お問合わせは contact からお気軽に。

twitter @mtn_river
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