旧Twitterにバッテンマークを付けられてからタイムラインの並びがぐちゃぐちゃになったり、フォローしているはずのアカウントの新規投稿が取得できなくなってお困りの皆様、お元気ですか。
「こんなところにいられるか! 俺は自分の部屋に戻る!」とTwitterをやめて別のSNSへ移住した方も、フォローしている人が皆それぞれ別のSNSを始めるものだから、相手と自分の使っているSNSがActivityPub(異なるSNS同士でフォローや交流ができる仕組み)に対応していない限り、更新をチェックしなければならない場所が増えてやっぱりお困りではないでしょうか。
今回はSNSに頼らずに情報を購読できる仕組み「RSS」を紹介します。
RSSを知っている人には、RSSは古い技術で「オワコン」と言いたくなる気持ちもわかります。
今回は「それでも今の御時世だとRSSもいいかもね」という立場をとって、そもそもRSSの存在を知らない方へ向けて、RSSの活用をオススメする記事を書きます。
目標
RSSという仕組みを知り、SNSに頼らずに個人のサイトやブログを購読できるようにする
この記事はRSSのことを全く知らない・名前は知っているがよく分かっていない人を対象にしています。
(最終的にはこのサイトを購読してくれたら嬉しいな! という目論見です)
そのためIT面の説明をかなり省いて書いています。
参考:Misskey.design(コミティア・文学フリマなどに参加する一次創作者のコミュニティ)で行ったアンケートでは、投票数101票中「RSSの存在を知らない」が44票でした。
- 知ってる・使っている(20票)
- 知ってる・使っていない(37票)
- 知らない(44票)
https://misskey.design/notes/9k69h7mv18
本記事では、上記アンケートの「知らない」に票を入れた方や、「使っていない」に票を入れたなかでも「名前しか知らない」層に宛てて説明します。
RSSとは?
RSSとは、色々なサイトの更新情報を配信するための統一形式のことです。
(RSSという頭文字の意味はRSSのバージョンによって異なりますが、関係ないので省略します。気になる方はWikipediaなどをご覧ください)
RSSの仕組みで書かれた更新情報を配信するための文章を「RSSフィード」と呼びます。RSS=RSSフィード という理解で差し支えありません。
英語の feed は「餌」のことで、そこから転じて「ローカル番組の放送」などの意味を持ちます。
RSSには「RSS 1.0」「RSS2.0」「Atom」などの規格の違いがありますが、今回は割愛します。
RSSフィードが発信する情報を読者が読むには、「RSSリーダー」と呼ばれるアプリケーションが必要です。リーダーはそのまま英語の read を指します。
例として、私のサイトのRSSフィードを紹介します。フィードのURLは https://libsy.net/feed です。
このURLをブラウザで開いてみると、こんな感じです。
見てもらったとおり、RSSフィード自体は人の目で読むには適さない形式です。
RSSフィードを人の目で読みやすいように、見出し・本文・画像などの体裁を整えてくれるのが「RSSリーダー」です。
私が使っているRSSリーダー(Slack内のアプリ)で上記のフィードを表示すると、このように情報が見やすく整形されます。
見出しや「…Read More」と省略されている部分をクリックすると、ブラウザが開いて記事のURL https://libsy.net/blog/3498 にジャンプします。
ポイント
「RSSフィード」(情報)を、「RSSリーダー」を使って読む
というわけでRSSでサイトを購読するには、サイトが提供する「RSSフィード」(情報)と、RSSを購読するための「RSSリーダー」(アプリ)の両方が必要です。
RSSでサイトを購読するステップ
ステップ1:購読したいRSSフィードを見つける
まずは購読したいサイトを選びます。
この記事は当サイト libsy.net を購読してほしい! という目論見で書いているので、サンプルに使うのはこのサイトのRSSフィードです。RSSフィードはURLの文字列です。
RSSフィードのURLや、そのURLがサイト上に書かれている場所は、サイトによって異なります。
私のサイトでは(2023/11/30現在)フッターメニューに「RSS」の項目があります。クリックすると https://libsy.net/feed に遷移します。
RSSフィードを探す目印
多くのサイトでは、「RSS」「フィード」「購読する」などのリンクでRSSフィードが提供されています。
RSSのアイコンは、左下から電波・波紋を発しているような図案です。このアイコンもRSSフィードを探す目印になります。
RSSフィードを提供しているサイト・ないサイト
サイトで上記の目印が見つからない場合でも、RSSフィードが配信されていることがあります。
(1) ブログサイトの場合、基本的に「提供されているはず」です。
例:はてなブログ、FC2ブログ、WordPress製サイト etc.
ただしRSSフィードのリンクが見つからない(サイト上にURLを掲載していない)こともあります。RSSフィードの見つけ方は後述します。
(2) ブログ機能のない個人開発の個人サイトでは、RSSフィードが用意されていない場合が多いです。
「RSSフィードがほしい」と個人サイトの管理人に言ったら対応される可能性があったり無かったりします。
ポイント
ブログ機能がある場合は、RSSフィードが配信されている可能性が高い
IT余談
2000年代のメモ帳ベタ打ちやホームページビルダーと同じような感覚で個人サイトをHTML, CSS, jQuery等で書いている趣味の人々にとって、RSSフィードを提供するのは技術的に難しいだろうと思います。
趣味でやっていることなので、これに対しては無理を言ってはいけないと思います。
一方でSSG(静的サイトジェネレーター)を使ってサイトを作っている場合は、各SSGのプラグインでRSSフィードの配信に対応できるはずです。
Gatsby, HUGO, Eleventy etc…
SSGを使って自分のサイトを作っているのはどうせ本業開発者なので、要望を言ったら対応してくれることでしょう。
(本記事内でこの段落だけは、同業者に「RSSフィード提供してね♡」というドヤしの意味合いで書いています。提供してね♡)
RSSフィードの見つけ方のコツ
(1) そのブログを提供しているサービスが、サイトのURLやサイト内の情報から分かる場合は、「(サービス名) RSS」でググると情報が見つかります。
▼例:「fc2ブログ RSS」の検索結果
自分のブログのRSSアドレスを確認する
FC2ブログでは、以下5種類のRSSを配信しています。 RSSアドレスは、ブログURLの末尾に ?xml… が付加される形式になります。
例えば、FC2インフォメーションブログの場合、
http://fc2information.blog.fc2.com/?xml のようになります。出典:FC2ブログ マニュアル
https://help.fc2.com/blog/manual/Home/rss.html
▼例:「はてなブログ RSS」の検索結果
更新フィード
はてなブログでは、自動ですべてのブログについてAtomフォーマットおよびRSS 2.0フォーマットによる更新フィードを取得しており、「ブログ全体」、「カテゴリーごと」、「著者ごと」に最新30件の記事を配信しています。
出典:はてなブログ ヘルプ
https://help.hatenablog.com/entry/feed
(2) そのブログを提供しているサービスが不明な場合、URLにサービス名を含まない独自ドメインの個人サイトの場合は、WordPress製の可能性がまあまああります。
URLが libsy.blog.fc2.com
などではなく(この場合はURLの文字列からFC2ブログのサービスだと分かる)、独自のドメイン libsy.net
などだった場合の話です。
WordPress製のサイトであれば、URLの末尾に /feed
をつけるとRSSフィードのURLを取得できます。
例:このサイトのRSSフィードは https://libsy.net/feed
です。
サイトがWordPress製か確認する方法
Google Chrome(PC)の場合
右クリック→「ソースを表示」→ソースコードから「WordPress」という文字列を検索
<meta name="generator" content="WordPress X.X.X" />
という行が見つかったらWordPress製サイトです。(X.X.Xはバージョンを示す数字)
(3) ブログサイトでなくてもRSSを配信していることがあります。
例えば Medium は、ページ内にリンクはありませんがRSSフィードを配信しています。
外部サイト: MediumのRSSフィードのURLを取得する方法
ステップ2:RSSリーダーアプリを入手する
先述した通り、「RSSフィード」は「RSSリーダー」を使って読みます。
使用するリーダーは、iOS/Androidアプリであれ、PCのアプリケーションやWebサービスであれ、何でもお好みでOKです。
例えばiOS/Android対応アプリ・PC用Webアプリ Inoreader は無料版でも購読数の制限がなく、日本語対応もしているので使いやすいと思います。
変わった所では、Slack内のアプリでフィードを購読する方法もあります。Slackのヘビーユーザーにオススメです。(私はこの方法を使っています)
ステップ3:アプリにRSSフィードを登録する
どのリーダーを使っても、フィードの登録方法は簡単です。
例として Inoreader での導入方法を紹介します。
(1) Inoreaderのアカウントを作成
(2) 検索窓にフィードのURLを入力
(3) 表示された項目を追加
(4) おわり。適宜フォルダ分けなどして整頓してください
なぜ今RSSを勧めるのか
RSSフィードを購読して、SNSに頼らずに個人のブログを購読できるようになろう という話は以上で終わりです。
RSSフィードのURLさえ取得できれば、SNSでフォローボタンを押すような気軽さでサイトやブログを購読できる と理解していただければ嬉しいです。
RSSの技術自体はかなり古く、RSSのバージョン「RSS 1.0」がリリースされたのは2000年です。
RSSはSNSの登場より前に、個々人がブログで情報発信や交流をしていた頃を支えていたサービスです。なのでSNSでの情報受発信が主流となってからのRSSはオワコン(終わったコンテンツ)だと言われています。
一方でSNSが世の中の流れを征服しているかのような現代だからこそ、SNSの急流を離れて、RSSフィードでの購読に戻ることも私は提案します。
たとえば新興のブログ系サービス「しずかなインターネット」では、記事の購読にサービス内でのSNS的な「フォロー」等の機能を提供せずに、サービスが提供するメールマガジンとRSSフィードの配信で記事更新通知を行っています。
RSSが提供されているサービスは、読者をフォロー・フォロワー関係内に囲い込みません(=会員登録を強制しません)。
RSSを活用すれば、サービスへの会員登録をすることなく好きな記事を購読できます。
RSSはニュース記事の配信にも使われています。
主な国内メディアではNHKオンライン、朝日新聞デジタル、毎日新聞などがRSSフィードを配信しています。
ものすごい量と速度で情報が流れていくSNSのタイムラインでは、時事の情報や、好きな作家の新作の公開などの重要な情報を見逃すことが多々あります。または、見逃すことを恐れてSNSに張り付く羽目になってしまうこともありました。ぶっちゃけ私も立派なツイ廃です。
RSSも活用すれば、SNSのタイムラインに頼らずに情報をキャッチすることができます。
SNSのタイムライン上にあふれる大量の発言に流されず、見たい記事を時間に急かされずにマイペースで読めるようになる、RSSの前時代的な遅さは逆に、今の時代の過ごし方にとっては価値になるのではないかと思います。
これを期にRSSがまた流行る……とまではいかずとも、RSSでも情報発信をするように選択肢を広げてくれるサイトやサービスが増えたらいいなと願っています。
とにかく、RSSは慣れるとかなり快適なサービスです。RSSでマイペースな購読を楽しみましょう。
まとめ
「RSS」は情報を購読するための規格。購読したいサイトで「RSSフィード」を見つけて、「RSSリーダー」を使って読む
SNSから離れて情報を購読できるので、読む側のマイペースを守れるのがメリット。
肝心のRSSフィードの探し方は少しコツがいるので、頑張って探してください。
というわけで良かったらうちのサイトを購読してください。笑
月1〜多くても月4程度の更新頻度です。
皆様も良きマイペースでお過ごしください。