イメージカクテルを注文した
というわけでここからいよいよ、予約した「inf」さんを訪問した話になる。
オーダーシート提出
選ばれたのは X(小説『Cipher』) でした。
というのも、やっぱり完結した作品のほうが気楽に臨めそうという理由からだ。
以下は私のクソ長いオーダーシートの文面の転載になる。
小町さんの以前のレポでは「オーダーシートをギチギチに埋めているのは私だけだった」的なことを書かれていたが、このテーブルの我々は全員が記入欄をギチギチに埋めているので心配することはない。
※風野さん・小町さんが書いたオーダーシートの内容は、それぞれの作者さんからの発表をお読みください。
- アルコールの強さ
- 弱め〜普通
- 苦手な味
- ビール、果物味全般が苦手です。レモンとライムはOK。果実酒はぶどう酒のみOKで、ぶどうジュースはNG
- ジャンル・作品名
- 創作(小説タイトル 『Cipher』・西洋風の架空の街の話)
- キャラの名前・読み方
- X (アルファベットのエックス) ※作中では全員1文字の記号のような名前
- 性別・年齢
- 男、20代半ば〜後半?
- 身長・体格
- 175cmぐらい、中肉中背(筋肉はない)、西洋人
- イメージカラー
- 紺色、グレー(頭髪)、黒(瞳)、モノトーン系
- イメージモチーフ
- グランドピアノ、白黒2トーンのウィングチップシューズ、夜露に濡れた石畳の旧市街
- 性格
- 路地裏の小さな酒場のジャズピアニスト。誰にでも親切で穏やかに接するが、離人感を抱いており、内心は空虚で無感動。
最近できた友達(皆に恐れられている美形の悪役俳優)と、チョコレートは好き。行方不明になったピアノの師匠を未だに密かに慕っている。
身なりは綺麗だが、生活は雑で部屋が汚い。
- キャラクターの好きなところ
- 一人称小説の語り手のキャラクター。終始穏やかな態度だが、読んでいて不安になるぐらい心の中ががらんどうの人物。
「二面性がある」「闇を抱えている」というよりも、「虚無」。
自分が周囲に「優しい」と思われている自覚も、自分にとっては優しさではなく無関心の現れである自覚もあるという、優しさとぞっとする空虚さが同居しているままならないところが胸を打ちます。
彼のピアノの演奏は、静かな夜に似合う優しいタッチです。
自分でも思うんだけど、キャラ設定も面倒くさければ、私の偏食が一番めんどくさい。
店員さんからは細かに「アレルギーではないんですか?」と確認が入り、「はい、味が嫌いなだけなんです。ワインはOKなんです……」と返答した。本当に面倒な客で申し訳なかった。
ほか「イメージカラーのなかではどのイメージが一番強いですか?」とも質問された。私は「紺色、グレー(頭髪)、黒(瞳)、モノトーン系」と並べて書いていたが、「彩度の強いイメージはないので、モノトーン系です」と答えた。
風野さんもユハのオーダーシートを提出した。
このときに「ユハさんのイラストはありますか?」と尋ねられ、風野さんがプリントアウトして持ってきた絵を見せた。
……なんか見たことあるな?
小町さんもスカーレットさんのイラストを求められて、iPhoneのロック画面の絵を見せた。
……なんか見たことあるな?
つまり、このカクテルの作画担当は全員私だった。
???
でも、私のオーダーはキャラクターのイラストを求められなかった。
??????
今回が2回目の訪問になる小町さんには、前回のカクテルと色味やグラスがかぶらないように店員さんが配慮して、前回のオーダー内容を確認していた。親切なお店だなあと感心した。
ファーストドリンク
風野さん 実質2杯目を飲む
オーダーカクテルが届くまではファーストドリンクを注文する。
メニューを見ている風野さんに電流走る。ドリンクメニューのなかに「月代(つきしろ)」というカクテル(モクテルに変更可)があった。
それは風野さんの小説『新月をグラスに注いで』の登場人物名とそっくりだった。
風野さん
「実質月代(つきよ)さんだ!」
と、風野さんはノンアルコールの「月代」をオーダーした。おいしそうだったので私も同じものを注文した。
月代さん(登場人物)のイメージカクテルをオーダーしたら、この「月代」とは違う見た目になりそうだけど、優しい味わいとウィスキーベースなところは『新月をグラスに注いで』の設定に近くて面白い(冒頭でウィスキーが登場する)。
風野さん的には実質2杯目のキャラクターイメージカクテルのようなラッキーになった。
小町さん イメージカラーの方をキメる
小町さんの方は、好きな色2色を選んでオーダーできるコンビネーションカクテルを注文した。little black dress のBa. ロリータさんとDr. ウェンズデーさんのイメージカラーで、青緑とオレンジでオーダーした。
どちらの色にアルコールを含めるかで、どちらがグラスの上の層になるか変わるそうだ。色合いから決めてもいいし、上下で味の印象も変わるので味の好みから選んでも良い。
グラスが宝石みたいでかわいい。マドラーもきらきらしてかわいい。
上の層がリキュールなので、最初はアルコール感の強い味。
ステアするとジンジャーエール層と混ざって飲みやすくなる。
反対色が混ざり合うのでなんだか夜のような闇色になる。ふたりの闇がまろび出てしまったのかもしれない。
でも下の方にオレンジ色が残って、夕暮れか夜明けのような色合いできれいだった。
フードメニュー
お通しでナッツ類は頂いたけど、せっかくなのでフードも注文した。これはカボチャのケーキだっけ?
ネタバレされる
という感じで談笑していたところ、また店員さんが私の偏食を確認しにやってきた。
「果物が苦手ということですが、ジンの香り付けに使われている果物は大丈夫ですか……?」
山川
「香り付け程度なら大丈夫です! ジンは問題なく飲めます」
なんて答えながら私は、へえ……ジンベースなんだあ…… と思っていた。
山川
「ジンというネタバレを食らった」
小町さん
「それは(山川の偏食のせいだから)仕方ないよ」
それは本当に私のせいでありしょうがないことなので別にいいんだけど、「ジン」と聞いたせいでなぜか頭の片隅を『名探偵コナン』のジンの兄貴の不敵な笑みが右から左へスゥーっと流れていった。
あの作品みたいにお酒が名前の由来になっているキャラクターは、キャラクターカクテルを作りやすそうで楽しそうだなとも思ったり。
イメージカクテルが届いてしまう
私がジンの兄貴を幻視し、風野さんがちょっと席を外していると、とうとう、風野さんと私のオーダーが届いてしまった。
届いたことにビックリしてしまった。なんか普通に飲み屋で談笑している気分になっていて、自キャラのドリンクをオーダーしたことを忘れていた。私の席がカウンターに背を向ける向きで、バーテンさんの様子が見えないというのもあった。
届いてしまったものがこちら。
えっ!??!?
オシャレな青汁が来た!?
風野さんは席に戻っていないが、グラスに続いて、それぞれのカクテルに使われているベースの瓶が運ばれた。
⚠注意:ここから取り乱す
ここからいよいよ取り乱し、作品を読んでないと分からない内容になります。
それではXさんのカクテルの説明をさせていただきます
店員さん
「それではXさんのカクテルの説明をさせていただきます」
え!?
「Xさんのカクテルの説明」!!?!??
「Xさんのカクテルの説明」という今まで聞いたことのない日本語にめちゃくちゃ動揺しながらメモを取った。それを元に店員さんのお話を再現するとこんな感じになる。(カクテルの説明の録画・録音は禁止、メモはOK)
「それではグラスについて説明いたします。
グラスのカップの丸みの部分が、Xさんの性格の穏やかさを示しています。けれどもカップの口がすぼまっていて閉じ気味の形をしていまして、これがXさんのもつ人を拒絶した感じや離人感を表しています」
え!?
グラスの形で離人感を!?!?
「グラスの上の層は『和GIN』という日本酒の蔵で作られたジンをベースに使用しています。ウッディ/ボタニカルな香りで、Xさんの性格の穏やかさや優しさを表現していますが、ジンの強いキリッとした味わいが離人感の方も表現しています」
私はなんかもう「あっハイ!(高音)」「ハイ!(高音)」みたいな相槌しかできない。
っていうか、オーダーシートを書いたのは私なのだが、面と向かってオーダーシートの内容を読み上げられるとだいぶ照れる。
頭はもう照れキャスター辛ラインである。なんだって??
ジンはネタバレされたけど、私はジンの味わいは好きなので、この時点で好きな味が来たことが結構うれしい。
〜乱入〜
「続いて下の層の説明に移ります。
こちらはカカオの甘いリキュールで、Xさんの好きなチョコレートを表現しています」
ハイ! と上ずった相槌を打ちながら、チョコレート味は来ますよね! と思っていた。でも墨汁じゃなく透明なのは意外です!
これはオーダーシートに「真っ黒い本」と書かなかったからだと思う。実物を見せていたら、それこそ墨汁めいたものが来たかもしれない。
「Xさんが人を拒絶するようななかでも、お友達である皆に恐れられている美形の悪役俳優さんとチョコレートには心を許しているのかと思います。
こちらのカカオのお味とアロマ感で、お友達の美形の悪役俳優さんと一緒にいるときのリラックスした感じを表現しました。」
美形の悪役俳優さんの説明が店員さんの口から出た瞬間、テーブルについた全員が失笑した。
すみません
呼んでない人が来たんですが?
祭りと聞いて我慢できずに駆け付けたアンドリュー W. K. よろしく我慢できずに駆け付けてきたかと思った。それかまさかの時のスペイン宗教裁判かと思った。チョコレートを手土産に。アロマ感と共に。
思い出してください。
スカーレットさんの絵を見せたときに、0ちゃんも画面に写っていました。
店員さんがそうとは認識していなくても、オーダーしたXの絵は店員さんには求められず、0だけは見せていたのです。
「鳥」も乱入する始末
「最後にマドラーとグラスのアクセサリーについて説明いたします。マドラーにはXさんの穏やかさを表現するために、鳥の羽根のモチーフをあしらいました。グラスの足にはピアノのモチーフをつけています」
「最初は上の層のジンのキリッとした味わいを楽しんで、そのあとはステアしてお楽しみください」
私のオーダーしたカクテルの説明は以上になる。
でも私は美形の悪役俳優さんに引き続き動揺を隠せなかった。
そういう文脈は無いとは分かっているしオーダーシートにも書いていないけど、「鳥」はヤバいじゃないですか。
私は「モチーフ」の欄にカラスがどうとか書いてませんよ?
店員さんはオーダーシートに書いていないことさえ読み取るエスパーなのかもしれない。
バーテンダーってすごい。俺は改めてそう思った。
ユハさんのカクテルの説明をさせていただきます
続けて風野さんのオーダーしたカクテルの説明に移る。
※オーダーシートの内容は、風野さんの情報公開をお待ちください。
「グラスの説明からはじめます。ユハさんは魔法にかけられるという設定から、ファンタジーさを感じるような、らせん状の足のグラスを使用しています。マドラーもファンタジーなデザインで、樹木・樹皮を感じるようなイメージのものを使っています」
「上の層のベースは『NEMA』というノンアルコールウィスキーを使用しています。これはノンアルコールジンから作ったノンアルコールウィスキーで、バラ、ジュニパーベリー、など色々なボタニカルの香りが混ざっており、漢方のような複雑で不思議な味がします。この説明しづらい不思議な味わいを、優しいけれど自己主張の苦手なユハさんのイメージとして使いました」
「下の層はココナッツのシロップです。熱帯を舞台にした作品なので、ヤシの木を使いました。ヤシの木の花言葉は『勝利・栄光』で、ユハさんが続編で新しい道へ進むイメージです(※新作のネタバレに繋がるので一部省略し、言葉のニュアンスを変えています)」
私が説明を聞いて感心した点は2つ。
1つは、グラスの形によって受ける印象がとても変わることだ。最初にXのグラスと一緒に運ばれたときの写真で比較してほしいが、ユハさんのガラスは背が低く、口が広く開いて、安定しているけどどこか頼りない、所在ない少女のような繊細さを感じた。
対してXのグラスはシャープでやや工業的なデザインで、背の高さ・まっすぐさから、成人男性の体格を感じる。
もう1つ。私も風野さんも園芸を趣味にしているが、植物好きは植物に対してリアリストになるので、花言葉を気にしなくなる・興味がなくなる(傾向があるんじゃないかと周囲の園芸家を見ていると思う)。
なので、花言葉を用いて植物を「物語的に」解釈していることにカルチャーギャップを覚えた。
小町さんに言わせれば「オタクは植物モチーフを使うときに花言葉を気にする人の方が多数」らしい。逆に私達が少数派だったのか……
スカーレットさんのカクテルの説明をさせていただきます
最後に小町さんのオーダーしたカクテルが届けられた。見た目からしてもうめちゃくちゃかわいい。
※オーダーシートの内容は、小町さんの情報公開をお待ちください。
「スカーレットさんのグラスは、スカーレットさんのスタイルのよさを示す細身のグラスを使用しました。グラス自体にオーロラカラーがついていて色が変わるところが、ダイヤモンドをイメージしています。」
「ベースは『Absolut Vanilla』というウォッカです。ウォッカは本来味のしないお酒ですが、バニラのフレーバーがついています。バニラの風味が、スカーレットさんの破天荒だけど品性のあるところを表現しています。ウォッカの名前の由来である absolute(絶対的な)が、スカーレットさんの自信家な一面をイメージしています」
「もう1本使用したのは『Southern Comfort』というフルーツ・ハーブのお酒です。Southern Comfort というお酒の名前から、スカーレットさんが気持ちを周囲の人にまっすぐ伝えて、バンドメンバーのことを信頼しているポジティブさを表しました」
「割材には辛口ジンジャーエールを使っています。生姜の花言葉『信頼』のイメージを重ねました」
「黒いリボンとダイヤモンドモチーフのマドラーで、スカーレットさんの見た目を表現しています」
もしかして、イラストを求められたのは、女性キャラクターの宝飾品や服装をチェックするためかも? と後で思った。リボンなどのデザインはカクテルに反映しやすいし、見た目もにぎやかで楽しくなりそうだ。
カクテルを飲む
まず一口
話を聞くだけでお腹いっぱいというか酔っ払ったような気分だが、皆の話を聞いたので、いよいよ頂いてみることにした。
Xのカクテルをまず一口。色がきれいなので、飲むのがもったいない。
……あっ! すごいジンだ! 辛っ! という第一印象だった。
それとこのグラス、形状がとても飲みにくい。とても拒絶されている感じがする。頭の中のXが「スン……」っていう無表情をしている。
飲んでいくと、グラスの内径が少し広くなった部分で急に「無」が訪れる。あれ? 水? っていうぐらい味が落ち着く。
小町さんに舐めてもらったけど、味がしない訳ではなくジンが薄まったらしい。1口目のジンが強烈すぎて「無」になったかと思ってしまった。
バニラ味のガソリン
一方小町さんはスカーレットさんイメージのカクテルを一口飲むやいなや
「バニラ味のガソリン」
というすごいワードを口走った。
ウォッカベースだから言わんとすることは分かるけど、スカーレットさんの二つ名にするには強すぎる。これがこの日一番のパワーワードになった。
風野さんのオーダーはノンアルコールカクテルなので、スルスルと飲める味だった。一口貰ってみると、甘くて飲みやすいのに味を形容できないなんとも不思議な味だった。
呼んでない人が全面に来る
だんだん飲み進めていったあと、下の層とステアしはじめる。
小町さんは「混ぜたらスカーレットちゃんの人たらしの部分が出てきた。味が甘くなった」と言っているので、私も下の層にいる今回呼んでないはずのご友人を呼び出してくる。
…………うわ、甘っま!!!!
主張が激しい!!!!!!
楽屋でめちゃくちゃチョコレート貰ってきたから
押し付けにきやがった時の味がする!!!!!!
味の印象を図説するとこんな感じだ。後半にかけて呼んでない人の我が強い。
小町さんにもテイスティングして貰ったら、「フハハハハ」と三下の悪役のような笑い声を上げはじめた。
小町さん
「ピアノバーに入店しようとしてドアを開けたらカランカラーン!ってちょうど0様が出てきて、『ア! スミマセン! 自分何も見てません!!!』って目を塞ぐような感じ」
山川
「あんまりにも0の主張が激しい。どれだけ混ぜても甘い。前に出てくる」
風野さん
「Xさんを語るのに0さんの存在は切り離せない……?」
0は圧が強い。俺は改めてそう思った。
振り返り
イラスト
こういうお店にはアクリルスタンド・キーホルダーなどを持参するといいんだろうけど、私たちにはそんなものはないので、翌日、写真の上にイラストを描いてプレゼントした。
(ユハさんの絵は私の作品解釈によるイメージです。バーに行ける年齢になっている、物語冒頭の大人ユハをイメージしました)
穏やかな気持ちになる遊びだった
お会計額は「ちゃんとしたバー」相当なので安い買い物ではないけれど、体験の満足度はとても高い。
風野さんいわく、
「カクテルが新作のアイデアになるかはともかくとして、美味しかったからOKです」と満足されていた。
私も同感だった。というか正直に言うと、Xのイメージであるかどうかは置いといても、見た目が格好良くてめっちゃ好みの味の飲み物を作って貰ったから、とても美味しく頂いた。ちゃんとしたバーで作ってもらった飲み物だから、とても美味しいお酒だった。今回呼んでないはずの人が大量の手土産のチョコを持ってやってきたけど。
イメージカクテルの説明を受けるのはだいぶ照れるが、店員さんもオーダーシートの限られた文字数のなかで最大限にオーダーの意図を汲み取ろうとしてくれているようで、私のオーダーを尊重されていることに嬉しさを感じた。
なんというか、オーダーメイドでなにか欲しい物を注文するのは、湯治という目的がなくても温泉宿へ旅行へ行くようなもので、無駄な出費と言われればそうかもしれないけれど、「自分を労っている」感じがする。
私達ももう節度ある大人なので、カクテルを見てお店のなかで「キャー!!」なんて大はしゃぎはしない(内心は別として♡)
時間を確保してお店を予約し、自分を労って良い飲み物を買うと、店員さんが私のオーダーを尊重して丁寧に1杯のドリンクを作ってくれる。
そういう特別な日を作ることに、「キャー!!」と黄色い悲鳴を上げるのではなく、じわりとした「良いなあ……」という温かい気持ちになった。
あとは本当に、自分の作品だけでなく、他の方の作品・キャラクターがどうなるかももっと色々見てみたい。なのでまた別の人を誘って訪ねたいなと思った。次回は、今回頼まなかった明日未ちゃんのカクテルをオーダーしたいなあ。
店員さんはこんなに偏食な私にも融通を利かせてくれたので、きっと大概の人の注文はなんとかしてくれると思う。
「inf」では先述の通り、キャラクターのイメージだけでなく、風景や家族・友人・ペットからもカクテルを作ってくれるそうなので、オタク的な「推し活」目的でなくても、自分を労る楽しい体験ができると思う。
お酒を引っ掛けたあとは西荻窪の街を歩いて、風野さんがオススメするカレー屋さんに夕飯を食べに行った。
涼風の吹く夜の街をほろ酔いの頭で歩く心地よい時間は、『Cipher』のXの酒場や、Xが提供したピアノの音色の心地よさみたいだな……と感じた。そういう意味で今回は作中世界の「イメージ」に浸れたかもしれない。
サグチキンカレーを頂いた。カレーもおいしい。
ロリータちゃん(の香水)を連れ帰った
別れ際、小町さんがオーダーしたキャラクターのイメージ香水の匂いをかがせてもらった。
オーダーしたのは little black dress の Ba. ロリータちゃんだった。事前にどんな香りなのか話に聞いていたので、こんな感じか〜と納得する。
上腕に1プッシュしてもらったので、動いたときにほんのわずかにロリータちゃんのナンパでタラシな香りが漂い、こいつはやべえな……と思った。
香水も自分もオーダーしてみたい気持ちが湧いてきた。
『Cipher』のプロトタイプとジンの話
あとになって気付いたが、ジンは小説『Cipher』にとって縁のある飲み物だった。
『Cipher』の着想元・初出は、当時(2012年?)Twitterで開催されていた「ビリー・ジョエルの楽曲 “Piano Man” の歌詞をもとに小説を書こう」というちょっとした企画への投稿作品だった。
Man, What are you doin’ here?
と尋ねられても何も言わずに微笑む「ぼく」というピアノマンは、その曲から出発している。
“Piano Man” の歌詞中で客が飲んだくれている酒が Tonic and gin
だった。ジンといえばかつてのイギリスでは悪名高い安酒である。“Piano Man” の客が飲んでいたのもきっと上等なジントニックではないだろう。
それでも『Cipher』プロトタイプが “Piano Man” から出発している以上、『Cipher』とジンとの縁は切り離せないものだ。
ここまで思うと、「言ってないはずの鳥モチーフ」「言ってないはずのジンとの関係」そして「呼んでないのにやってきた主張が激しいお友達」を汲み取った「inf」の店員さんは、(たぶんに偶然だろうけど)……
バーテンダーってやっぱりすごい。俺は改めてそう思った。
【宣伝】小説『Cipher』絶賛品切れ中 頒布中
そんな小説『Cipher』は、残念ながら現在絶賛品切れ中 追記:在庫復活し、通販&出店する同人誌即売イベントで販売中です。
なんで「撮れ高」がどうとか言っておきながら肝心のマーケティングが甘いんでしょうか? 非常に反省しております。
次回イベント出店予定
『Cipher』は次回出店するイベント「11/11(土)開催・文学フリマ東京37」に合わせて増刷・再販を行います。
東京流通センター(東京都大田区)で開催されるイベント「文学フリマ東京37」にお越しになる方は、イベント「文学フリマ東京37」の開催要項と、本ブログでの出店告知をお待ち下さい。
文学フリマ東京37 開催要項
https://bunfree.net/event/tokyo37/
追記:ほか、最新のイベント出店情報は当ブログをご覧ください。
通販リンク(再販準備中)
『Cipher』は、著者・山川夜高のオンラインストア(Booth)での直販と、オンラインストアの「架空ストア」での委託販売を行っています。
現在はどちらのストアでも在庫が切れています。「11/11(土)開催・文学フリマ東京37」後に再販を開始します。
ストアページをチェックしてお待ち下さい。
オンラインストア(Booth)
https://libsy.booth.pm/items/254008
「入荷お知らせメールを受け取る」ボタンを押してお待ち下さい。
委託販売:架空ストア
https://store.retro-biz.com/i19793.html
「買いたい!に追加」ボタンを押してお待ち下さい。
『Cipher』前半試し読み
全80000字の『Cipher』のうち、前半40000字をこのサイトで無料公開しています。
前半部分では初登場シーンから信じられないぐらい押しが強かった0と、0の押しの強さをだんだんスルーしていくXを読むことができます。
再販までの間は、前半の試し読み部分をお楽しみいただければ幸いです。
『Cipher』冒頭40000字 試し読み
同行者のレポ
小町紗良さんによるレポはこちら。
イメージカクテルから生まれた架空のジャズ批評です。
https://misskey.design/notes/9kciflcla7
風野湊によるオーダーシートの詳細とレポはこちら。
小説『すべての樹木は光』の核心に迫る内容がありますので、未読・読書中の方はネタバレにご留意ください。
https://misskey.design/@feelingskyblue/pages/1696337461181
おまけ
ユハさんが所在なさすぎる。ごめんなさい。