東京都の23区ではない緑豊かな住宅街に住んでいる。戦後高度経済成長時代に計画的に植樹されて、街路樹・公園・学校と、あまりに緑が豊かすぎるこの一帯は、毎年セミの鳴き声が本当に大変なことになっている。街灯のせいか深夜も鳴き通しのうえ、田舎の広大な山野に分散して暮らすセミと異なり、たとえば街の中の公園の1点にこのへんで羽化したセミがすべて集まるから、個体数の割に声量が半端ではない。
夏以外の季節には、ヒヨドリ、うぐいす、ガビチョウなど野鳥が騒がしく鳴いているが、夏だけはセミに押されて、ほとんど鳥の声は聞こえない。秋は秋で、日が暮れると、毎晩うるさいぐらいスズムシが聞こえる。静寂な季節は真冬だけだと思う。
さて、アンビエントミュージックという音楽ジャンルがある。特に厳密な定義はないが、従来の(クラシックからジャズやロックに至る)周囲の音をかき消してしまうような音楽ではなく、周囲の環境と寄り添うような・溶け合うような音楽のことだ。
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