2018/10/22(月)〜10/26(金)にかけて、札幌在住の友人といっしょに札幌・登別・小樽を旅行しました。この記事は旅行記をテキトーに脚色してお送りします。全5回の更新です。
登場人物
山川夜高
通称:山川 この文章を書いた人
8月半ば〜10月上旬まで欧州旅行に行ったため、現在すかんぴん
ルチアナ (Twitter: @socono_co)
通称:ルッチー 札幌に実家がある 北海道出身のため舌が肥えている
ねずみちゃん(2008年モデル)
通称:初号機 山川の右手 年季が入っている
ねずみちゃん(2017年モデル)
通称:2号機 山川の左手 初号機と比べて生地が薄め
前日譚:ニッポンを夢見て
2018年8月から10月までヨーロッパ69日旅行へ出た山川とねずみちゃんとねずみちゃん。彼らは旅の途中、ある問題に直面する。
「洋食に飽きた」
日本の食事は和食・洋食(これもアメリカン、イタリアン、フレンチ、その他からいろいろ選べる)・中華・その他の地域・創作料理と選択肢が豊富だが、これは世界的には稀有なのかもしれない。
国際都市であるイギリス・ロンドンでは食事の選択肢があったが、ドイツ・ベルリン以東の中欧で選択肢が激減、具体的にはジャガイモ&腸詰め&ザワークラウトばかり。ときどき中華料理・インドカレー・ベトナム料理・ケバブ等で脱洋食を試みつつも、こればかりでは飽きる。
アイルランド・ダブリンでラーメン屋に入ろうとしたところ、ダブリンで一番人気のラーメン屋兼居酒屋は Google Maps のレビューで最悪の評価だった。現地の人々や西洋からの旅行者の評価は得ているが、日本語レビューでは「麺が伸びている」など率直な落胆の声が寄せられていた。
その頃ダブリンで出会った日本人留学生が「ここは日本人の店主が監督していて、問題なく美味いらしい」と教えてくれたラーメン屋は、醤油ラーメンが1杯€16した。「銀座のラーメン屋で食べたほうが安い」と私達は笑いあった。実際ラーメンは美味しかったが、帰国後に銀座で食べた750円の中華そばのほうが美味しかった。
ドイツ・ベルリンで食べた人気店のベトナムフォーは本当に美味かったが、同じベルリンで「Thai Vietnam Sushi」と書かれたレストランの看板を見かけた。怖くて入店していない。タイ・ベトナムは国名だが、スシは国家ではない。「タイ料理とベトナム料理とスシ」を扱った店なのか、それとも「タイ・ベトナム風のスシ」を扱った店だったのか、今となっては分からない。
中華料理・ベトナム料理・トルコ料理のケバブ(と、食べる機会がなかったが、おそらくは韓国料理もチェーン店が多々あった)は、おそらく郷土の味がある程度は守られながら、ヨーロッパという異郷でも親しまれているのに対し、日本料理はなぜ「スシ」に改造されてしまうのだろうか?
これは第一に、西洋で暮らす日系人が少ないためではないかと思う。異郷で中華料理屋を開く中華系移民はいても、異郷で和食を振る舞う日系移民はとても少ないし、異郷で和食を食べたがる日本人観光客も少ないのではないだろうか。
第二に、より飛躍した仮説として……西洋世界にとって日本はいまだに「ファンタジーのなかのジパング」に過ぎないのではないだろうか。
これは、きっと「世界の果て」「いまだ知らぬ憧れの場所」というような良い意味での幻想視ではなく、「なんだか実態の分からない場所」という無関心の末、ニンジャやサムライがいまだに跋扈するという空想を訂正するほどの価値のない場所としての「ファンタジー」だろう。だから、寿司も「日本人が好んでいる食べ物の味」という実態に沿う前に、「スシのイメージ」が先んじる。
山川の脳裏では屁理屈がめぐらされていたが、ねずみちゃんの欲望はもっとシンプルだった。美しい解はシンプルである。
「おいしいものたべたい」
「ヨーロッパはお風呂(湯船)がない」
「大きいおふろ入りたい」
「たたみでごろごろしたい」
「ルッチーのおうち北海道だよね」
「北海道はおいしい」
「おいしいものたべたい」
「北海道は温泉あるかな」
「ルッチーにあいたい」
「ルタオたべたい」
「北海道!!! いきたい!!!!!」
というわけで2018年10月22日(月)〜26日(金)の成田〜新千歳空港の往復券を、まだ日本に帰らぬうちに予約。成田空港への帰国が10月14日(日)だったので、旅を終えた一週間後にまた旅に出るというスケジュール、すばらしいご身分だった。
成田発便は羽田発便よりもちょっとだけ安い。でも北海道でのグルメ豪遊の総額を思うと、羽田から出発しても微々たる差だったと思う。
札幌を拠点にして、登別の温泉宿に1泊する。旅館による北海道地震の復興応援宿泊プランを利用し、通常料金よりも安く滞在できたと思う。
飛行機を予約したときには、東京〜札幌間の交通便の復興応援プランはまだ発表されておらず、予約の1〜2週間後にJALや行政による割引や支援が発表された。もっと早く言ってほしかった……。
しかし札幌から帰宅した翌週は雨で急激に冷え込んだらしい。「一番良い時期に来た」とルチアナさんはTwitterで語り、ねずみちゃんは得意げな顔をした。
10月13日(土)にマルタを旅立ち、イスタンブール経由で14日(日)に成田空港に着陸した。札幌への出発は翌週の10月22日(月)、旅が終わった一週間後にまた旅に出る、慌ただしいスケジュールだった。
出発までの短い間に、ルチアナ一家への東京土産を探す。しかし、東京で買えるものが北海道民の御眼鏡に適うだろうか? 買い物に行く前に「どんなものがいい?」と尋ねてみると、
道民に食でマウントを取るなんで不可能だ。自信にみなぎる道民の言葉に私は打ちのめされた。ちなみに一番近所のパティスリーは海外旅行中に潰れてしまった。
マルタで買ったおみやげと合わせて、東京駅で事前にいくつか用意しつつ、もう一品を新千歳空港で探した。
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東京で買ったおみやげのうち一つ。おいしそう。自分の分も買えばよかった……
10月22日、いよいよ北海道へ