シマエナガはエナガという小鳥の北海道亜種で、シマフクロウと同じように「シマ」は北海道を表している。本州のエナガと異なる点は、成鳥のエナガは目の上に黒い帯状の模様があるが、シマエナガは真っ白、というだけだ。
日本の小鳥のなかでも特に小さく(最小はミソサザイまたはキクイタダキ)まんまるい体で、ただでさえ日本の小鳥のなかでもトップを争うかわいさ(筆者主観)なのに、北海道に適応した真っ白ボディになってしまうだけで、日本の小鳥のなかでもトップのかわいさに化ける。
これは決して私の主観ではなく♪鳥くんさんのお墨付きでもある。( ♪鳥くんさんは鳥界のさかなクンさんに相当する凄いお方だ)
♪鳥くんさん監修の写真集
ここ数年インターネットで有名になり「真っ白でかわいい小鳥」ともてはやされたシマエナガが、実は日本に普通に生息している小鳥の1亜種であり、エナガ自体は住宅地や公園にもいる珍しくもない野鳥だということを、多くのインターネット民は知らない。
それどころか、道民のルチアナさんいわく シマエナガのかわいさを道民自身は気付いていない ようである。たしかに、キタキツネやシマフクロウをかたどったお土産物はよく見かけるが、シマエナガの雑貨の取扱は少ない。
「エナガ自体がそのへんで見られる珍しくもない鳥だから、シマエナガだってそのへんにいるはずなんだよ」、と、私達は、夕方に住宅地の公園を散策した。都内・多摩地区の実家の近辺でエナガはしょっちゅう見かけていた。したがってシマエナガも道内の割とそのへんで難なく見られる……と期待される。
ヨーロッパ旅行で満たされなかった「和食・湯船・畳でごろごろ」を満たしつつ、シマエナガを見つける。
これが今回の札幌旅行のテーマ「シマエナガ大作戦」だ。
夕方の公園ピックアップガチャ
私達は夕方の公園へ繰り出した。本命は翌朝の探索で、今日はとりあえず下見のつもりだった。
まずルチアナさんには、目当てのシマエナガはぜんぜん珍しくない野鳥であることを伝えた。といっても珍しさの度合いを伝えるのは通常なかなか難しく、私はたとえ話を用意した。
「いまから探すのはキャスニキみたいなものだ」と。
「そう珍しくもなくて、どこにでもいるといえばどこにでもいるけれど、運が悪ければ全く出会えない亜種」という意味を込めて、「キャスニキみたいなものだ」と私は例えた。ルチアナさんは私がプレイする前からFGOをプレイしていて、彼女がゲームにハマるのは珍しいことだったので、私も興味を持って始めたのがきっかけだった。だから先輩プレイヤーであるルチアナさんは「シマエナガ=有料ガチャ限定★3」の例えにすんなり納得してくれた。
住宅地の公園を歩く。10月は半ばを過ぎ、日の入り時刻も早くなった。
「このへんはキタキツネもいるらしい」けど私は見たことがない、とルチアナさんは言う。
周辺ののどかさは多摩美八王子キャンパスの周辺に通じるものがあった。札幌郊外は多摩美ほど坂道はないが、あたりには学校がいくつかあり、学校敷地内の雑木林や公園に鳥や小動物が集まる。多摩地区でもタヌキやハクビシンは見かけることがあるので、タヌキの代わりにキタキツネが現れるようなものか、と思った。
公園をぼちぼち歩いていると、雑木林の入り口になにか四足の生き物がいるのが見えた。野良猫かと思ったが、尻尾が太い。キタキツネだ!
ルチアナさんも野生で見るのは初めてだった。キタキツネは私達に気付くと雑木林に去っていった。
「キタキツネってレアリティいくつ?」
「北海道では★3かな」
そんなもんか……まあ札幌在住のルチアナさんが、近所で見たのはこれが初めてだと言っていたから、そう考えれば★3シマエナガとレアリティは同じぐらいかもしれない。
本命のシマエナガはといえば、夕方はもう小鳥たちにとっては寝支度の時間で、木の高いところや茂みに隠れてしまい、姿が見られなかった。小鳥は朝の方が活発に活動すると思われるので、翌朝にもう一度散策することにして、私達も引き上げた。
ラーメン!
今回の旅行は、もう旅程を組んだり食事処を調べるのに疲れてしまったのと、私よりも地元民の調べのほうが良いものが見つかるだろうと思い、日程も食事処も宿の予約もルチアナさんに全部任せた。私はラーメン・寿司・スープカレーさえ食べられれば何でも良かった。
ルチアナ一家の案内でおすすめのラーメン屋に連れて行ってもらった。味噌・塩・醤油味があったが、迷ったすえ札幌ラーメン定番の味噌にした。そんなに多食な方でもないのにライスセットを頼んでしまった(普段は絶対頼まない)。さらにルチアナ家が私の頼まなかった塩・醤油ラーメンを少しずつ取り分けてくれて、結果いつもよりかなり多い量を食べてしまったし、そのあとルタオも食べることになる。
完全にカロリーオーバーで初日は終了。明日はシマエナガに出会えるだろうか。
次回予告
★3シマエナガ狙い北海道ピックアップガチャを雑木林で回す山川たち。しかし引き当てたのは思いもよらないすりぬけ★4だった──? スープカレーに高級回転寿司、カロリーは着々とオーバーしていく。
次回『あれ? 東京は時差何時間?』お楽しみに!
今日の動物
キタキツネ

北海道に分布するアカギツネの亜種がキタキツネと呼ばれている。遠目には野犬か猫のように見えるが、オレンジ色の体色と太くて長い尻尾が特徴。野生で見たことない道民もいるらしく、事実ルチアナさんも自宅近辺で見るのは今回がはじめてのようだ。エキノコックス(寄生虫)が洒落にならないので、野生のキツネには近づかないこと。
シマエナガ

写真集『シマエナガちゃん』とてもかわいいのでおすすめです。
参考文献
- 吉野俊幸 (2009)『ヤマケイポケットガイド(7) 野鳥』山と溪谷社
- 小原玲 (2017)『シマエナガちゃん』講談社
- キタキツネが北海道の市街地に姿を見せる…エキノコックス症とは? – All About 編集部 2017.08.16