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2018年10月22日(月)

一番人気のドゥーブルフロマージュ

行き帰りともに、成田空港からジェットスターを利用した。自宅─空港間の交通費を加味しても、羽田空港便よりも成田空港便のほうが少し安い。

昼間の成田空港は日差しに満ちてあたたかく、青草を刈ったあとの夏の終わりのにおいがした。ものすごい数のトンボが、空中で交尾したまま窓の向こうを通り過ぎた。

成田空港からLCCを利用するのは初めてのことで、第三ターミナルの利用もこれが初めてだった。第三ターミナルは「ホワイトキューブ(≒アートギャラリーの内装)にあこがれて作ったトタン屋根のバラック」という印象の内装だった。清潔ではあるけれど、それ以上に荒涼とした印象だった。

成田空港~新千歳空港間の飛行時間は約1時間半、乗車時間といい小さなLCC機体の内部といい、体感が長距離バスとあまり変わらない。漫然と読書している間に新千歳空港に到着してしまった。

 

新千歳空港のお土産エリア・レストラン街は、なんだかデパートのように賑わっていて、到着早々、北海道の恵みに目移りしてしまう。甘い物もご飯のお供も、何もかもが美味しそうで全く選べない。

 

一番人気のドゥーブルフロマージュはいかがですかあー?

 

歩き回っていると、あるお土産屋の店頭でルタオのチーズケーキが試食用に切り分けられているところに出会った。

ひとくち食べてみると、レアチーズケーキとは思えないムースかメレンゲのようにふわふわな食感と、濃厚な風味に驚いた。うまい!!「一番人気」とはこれほどの実力か……と、これを実家へのお土産にすることを決意した。でもルッチーへのお土産はどうしよう。

 

ふたたび辺りをうろうろしているとルタオのショップを発見した。

 

一番人気のドゥーブルフロマージュはいかがですかあー?

 

店頭では、またもドゥーブルフロマージュの試食が振る舞われていた。さっきも食べたけどなあ……と思いながら、勧められるまま本日二口目を食べる。

するとどうだろう、食べるのはこれで二回目なのに、またも新鮮な驚きが舌を駆け抜けた。

 

……うっっっま!!!?? 二回目なのに!!!! 二回目なのにこんなに美味しいなんて!!!!

 

「二度試食したのに二度も驚いた」という理由で、一番人気のドゥーブルフロマージュを買った。道民は食べ慣れているかもしれないけど、山川が気になるもの買ってくればいいよとお墨付きはもらっているので、これにしよう。

 

「ドゥーブルフロマージュひとつください」

「一番人気のドゥーブルフロマージュですね。一番人気のドゥーブルフロマージュ入ります!

一番人気のドゥーブルフロマージュ入ります

 

復唱しなきゃいけないんだ……?

一番人気のドゥーブルフロマージュはこのあとルチアナ家でもいただき、お土産に東京の自宅でも食べたが、都度「うっっっま!!??」と驚いた。合計4回だ。ここまで来ると4回も驚いたことに驚いてしまう。

一番人気のドゥーブルフロマージュはルタオ公式サイトでも買えます。マジで美味くて驚くのでぜひお試しください。(外部リンク)


いるかホテルへ行く心地

つい一週間前に終えたヨーロッパ旅行について、「楽しかったか」といえば、まったく「分からない」どころか「楽しくはなかった」と思う。「とても良かった」が、楽しいとは違う。

異郷の一人旅はひたすらに自由であるけれども、それは日本で私を束縛する価値観や常識から開放されているというだけで、私を守る慣例のない地でむき出しの体を晒す「自由」だ。崖っぷちの吊橋を渡るときに覚えるような高揚が持続するけれども、それは決して快適な(平和な)感覚ではない。

「楽しかったか」と聞く人が本当に知りたいことは、たぶん快適さの度合いについてだろう。だから私は、「良かったけど楽しくはない」と答えることにした。

 

北海道旅行でようやく、私は「快適さ」が目当てになった。寿司、ラーメン、スープカレー、温泉、紅葉。イメージされた北海道、東京という現実に対する、異郷・理想郷のイメージだ。

もし札幌で、これまでの欧州旅行と同じように、都市部の安宿に泊まっていたら、まさにイメージどおりの(東京都民が夢見たファンタジーの中を歩く)北海道旅行になっていただろう。でも今回の札幌旅行では、ルチアナ家にホームステイさせてもらえることになった。友達一家が生きている現実の北海道、日常の北海道に滞在するということだ。

 

友達が生まれ育った風景というのは不思議な感じがする。小中学校からの幼馴染はほとんど同郷の人だが、ある程度大人になってから出会った人は、皆それぞれ色々なところから東京にやってきた人なので、ふるさとを共にしない。生まれ育った風景というのは、その人にとって地中の根っこのような隠された部分で、か細くはないけれど顕にするものでもなく、触ると(触る方も触られる方も)なんだかくすぐったいような感じがする。

異郷に行った友達を訪ねる、というのも良い気分だった。以前、友人に会いに冬の西表島へ旅行した時を思い出した。あのときもとても良い経験だった。良い経験、という言葉自体は非常に平坦で何も語っていないも同然だけど、たった数日の西表島の経験は私にとって非常に込み入っているため、ここで書くにはページが足りない。

 

大切なのは、その人のために遠くまで訪ねて、会話を交わせるということだ。これはヨーロッパ旅行ではできなかった。なぜなら、ヨーロッパで訪ねた人々はみな歴史や物語のなかの故人だったから、墓の前に立って思いを馳せることしかできなかった。

 

村上春樹の作品はつまみ食いしかしていないが、私は大好きな作品『ダンス・ダンス・ダンス』のいるかホテルへ行く心地だった。あれは旅を通じて再生する物語で、物語の最初の目的地は札幌だった。私も札幌に行ったら、人に出会って、旅を通じて、気持ちを再生できる気がした。


新千歳空港から札幌へは直通の高速バスがあり、札幌市街でルチアナさんと合流した。住宅地のカフェで遅い昼食を取る。

「私はいま、食への期待がものすごく下がっている。普段なら油っこすぎてあまり食べたいと思わない吉野家や松屋でも、いまなら美味しく食べられるかもしれない」と札幌へ出発する前に東京の友達へ語った。カフェで、ランチに選んだパンと惣菜のセットはめちゃくちゃ美味しかった。過剰に油っこくないというだけで幸福だった。

「マルタの地中海料理も美味しかったんじゃない?」

「マルタに着いてすぐに食べたリゾットも、名産のウニのクリームパスタも美味しかった。でもね、いくら美味しくても毎日地中海料理は飽きるんだ……」

ヨーロッパの宿で何度か自炊もしたけど、テフロン加工もない鉄鍋のフライパンは、油を大量に使わないと焦げ付いてしまう。結果、何を作っても油っこくなる。ベーコンエッグを焼くのにも油が必要だった。油っこくないのは煮込み料理ぐらいだけど、一人旅ではスープを作ると、作りすぎて腹いっぱいになってしまった。

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北海道の亜種を探せ

エナガ・シマエナガ図説

ところで、北海道と本州の間には「ブラキストン線」と呼ばれる生物の分布境界線があり、津軽海峡を隔てて生態系が異なっている。

たとえば、本州で見られるが北海道では見られない生物にはニホンザル(実はニホンザルは世界中で最も北に生息しているサル)やツキノワグマがあたり、逆に北海道だけに生息している生物はエゾヒグマ、エゾリス、シマフクロウなどが挙げられる。かれらの名前の「エゾ(蝦夷)」は北海道のことだが、シマフクロウの「シマ(島)」も北海道を表している。

また本州・北海道の両方に生息している生物でも、北海道産のものを亜種として区別することがある。北海道に生息している「キタキツネ」は、ユーラシア大陸に広く生息する「アカギツネ」の亜種にあたる(本州に生息しているアカギツネは「ホンドギツネ」という亜種に区別される)。

私にはぜひ北海道で見たい野鳥がいた。正確には、北海道にしかいない亜種を見てみたかった。それが「シマエナガ」だ。

北海道の野鳥「シマエナガ」を探せ
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Author : 山川 夜高

libsy 管理人。DTP・webデザインを中心とした文化的何でも屋。
このサイトでは自作品(小説・美術作品)の発表と成果物の紹介をしています。blogではDTP等のTIPSを中心に自由研究を掲載しています。
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