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マナー講師vs浦島太郎

前回に引き続き、いま仲間内でいちばんアツいゲーム「語彙大富豪」を遊びました。

今回は4人での対戦でしたが、毎ターンの回転率が早まるわけでもなく、むしろ一層の波乱を呼ぶ試合が続きました。
皆さんは玉手箱を開ける/開けない どちらがマナー違反だと思いますか?

ルール説明・デッキ構築

これまでの戦い

ローカルルール

  • ゲームスタート時の最初の言葉は、最初のプレイヤーでない人が手札にない言葉から適当に出す
  • フィクションが由来の言葉は他のプレイヤーが知らない可能性があるので原則不可。『ドラえもん』以上の知名度からOKとする
  • 判定に迷ったときは面白い方を採用

 

ゲームスタート

デッキ構築時の雑談タイム中にSF作家の柴田勝家氏の名前が上がったので、最初の言葉は柴田勝家です。

最初の言葉:柴田勝家

「かなり強い戦国武将ですよ!」

武将・柴田勝家に勝てる者は存在するのか――!?

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柴田勝家 < 幼女 ◎

「実はシールドパックで『信長』出てきたんだけど捨てちゃったんだよ残念。これは柴田勝家といえども困っている子はほっとかないだろうって意味で『幼女に弱い』」
「柴田勝家は妹がいますからね。通しでいいでしょう」

「でも、幼女といえど人間。人間相手であればだいたいこれで勝てると思います」

幼女 < 火あぶり ◎

セイラム魔女裁判か?」
「早速ひどすぎる」

「っていうか本能寺の変じゃん」
「やっぱり『信長』とっておけばよかったな〜!」

火あぶり < 批評 ◎

「『火あぶり』を『炎上』であると見なすと、炎上した案件に必要なものは適切な批評なんです」

批評 < ツイッタラー ◎

「さっき炎上案件を批評で抑えたのだから、ツイッタラーは批評に負けるのでは?」

「確かに炎上に対しては適切な批評が必要です。でも寄ってたかって何人もが一人の相手に批評を繰り返せば、それが正論でもリンチになってしまいます。このような状況のツイッター空間では批評が成り立ちません。
また、ここでのツイッタラーは『めちゃくちゃ馬鹿』と同義です。」

「ツイッターをやっている俺たちはめちゃくちゃ馬鹿ってことか」

(以下、実際に自分が見てきた炎上案件に対する各々の所感が述べられましたが、それを仔細に書くことは控えます。しかしそこで語られた内容は「ツイッターで批評はムリ」と皆が信じるに足るものでした。)

〜 ここまでの札:魔女裁判と炎上案件 〜 

「え、まだ1週目だけど、今回はダーティーな感じでいくの?

ツイッタラー < 気の緩み ◎

「出た、『不注意』『不具合』系カード」
(この卓ではヒューマンエラー系の言葉は強カードとされています)

「そんなわけで、ツイッタラーも人間なんで気の緩みで間違いを犯します」
アカウント間違えたりとかね」
「書いちゃいけないことを書いたり」

(「東京の疫病の大流行も市民の『気の緩み』が原因とメディアに言われたりしましたねえ」)
(「やっぱ今回の流れは社会派のダーティー卓なのか?」)

気の緩み < ペン ◎

「(屁理屈タイム)まあ、人は気の緩みで間違いを犯します。人は一日中気を張っていることは出来ませんから。
問題なのは、気の緩みによって間違いを犯してしまったという結果です。
気が緩んでいるときに人はやらかし、それを週刊誌にすっぱ抜かれるのが問題なのです。
気の緩み自体ではなく、気の緩みによる過ちを記録し、世間に広める、ペンの方が強いのです

ペン vs 暴力

「シンプルに暴力
「でもその暴力はペンで告発されないか?

「物理的にペンは手で折れるし…………」

「記録も暴力でもみ消せるよ……………」

「もし、僕とAさんが喧嘩して、どちらか片方だけがペンを取っていいなら、僕はペンを取ります。なぜならペンは目潰しに使えるし、刺せるし、何かを握っていた方がこぶしは固くなるからです!

暴力で記録をもみ消し、その暴力を記録できる点では、暴力とペンは表裏一体では?」

ペン = 暴力 【革命成立】

ペンは暴力と同じ!
「ゲームとしてそういう結果になるのはいいけど、一般の論理としてこの結論にたどり着いて良かったのかは疑問に思います
「何かを示すことは暴力である」

【革命】 (ペン=)暴力 > 汚い金持ち ◎

「革命返しか?」
「いや、『汚い金持ち』はフィクションでは弱い
「汚い金持ちはペンと暴力に振り回される側」

【革命】汚い金持ち > 火 ◎

「『火』っていう響きが弱い。『火事』とかじゃないし。『火』っていう字面だと、これはまだもみ消せるボヤ」
「葉巻の火をもみ消している汚い金持ちが思い浮かんだ」

 

「(説得タイム)さて、火は人間にとってめちゃくちゃ有益です。料理などの生産的な活動にも使えるし、敵を攻撃することも出来る。火は人類の進歩に非常に貢献してきた、汎用性の高い存在です。
今から出すものは、万能の道具である『火』に比べると汎用性が低く、しかも沸かされる側です」

【革命】 火 > ウーロン茶 ◎

「たしかにウーロン茶をかければ小さな火を消すことはできますが、道具として利用可能なシチュエーションを比べれば、ウーロン茶よりも火の方が人類の進歩に貢献しています

「ウーロン茶が火を消せるかは何リットルのウーロン茶かによるな」
「コップ1杯じゃない?」
「じゃあムリ」

【革命】 ウーロン茶 … パス

「ウーロン茶、よっわい」
「前回『りんご』が出てきたけどウーロン茶の方が弱い」
「ウーロン茶、栄養がないからね」

【革命】 ウーロン茶 … パス

「なんでウーロン茶を手札に入れようと思ったんですか?」
いま飲んでるから入れました。革命対策に入れておいて良かったです」

【革命】 ウーロン茶 vs 因果応報

「「ん???」」

「(詭弁タイム)因果応報っていうのは、『因果』に対して帰ってくるものです。たとえば因果が『ドリンクバーでウーロン茶をベースにめちゃくちゃなミックスドリンクを作って遊んだ』だとしたら、その報いは『ウーロン茶をこぼして服がびちゃびちゃになった』程度のはず。ウーロン茶にまつわる因果応報は、結局ウーロン茶程度のものしか帰ってこない」

「『因果応報』は関数(function)で、入力が『ウーロン茶』だったらreturnは『ウーロン茶』程度のものしか出ないってことですか?」

「いや、ウーロン茶と因果応報が関係なさすぎるだろ。無効試合では?」
「『因果応報』は善悪に関わるもので、ウーロン茶には善悪ないでしょう。ウーロン茶には主体性がないから」

「私は今回の『因果応報』をfunctionと見なす詭弁には反対しませんが、この前例が通ると『因果応報』がジョーカーになってしまい、今後の語彙大富豪のプレイに差し支えます」

【革命】 ウーロン茶 vs 因果応報 × 【無効試合】

『因果応報』をミラーカードとして扱った判例ができると、語彙大富豪で『因果応報』が最強カードになってしまうので、無効試合とさせてください」
「これも語彙大富豪の将来のためです」

ウーロン茶が弱すぎたので場が流れます

『ウーロン茶』を出した人が新しい札を場に出します。革命状態は継続中です。

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【革命】最初の言葉:マナー講師

「また弱いのが出たなあ〜」

【革命】 マナー講師 vs 浦島太郎

「「「????」」」

「浦島太郎はマナー講師に弱いのか????」

「いやわからない。浦島太郎はマナー講師の言うことを聞かない気がする。言うことを聞かないでひどい目に遭ったからなあ」
「浦島太郎は(いじめられていた亀を助けるような)我を通す男とも取れるし、ひとの言うことを聞かない男とも取れる」

「竜宮城の姫様がマナー講師だったとすれば……」
「そもそも浦島太郎は玉手箱をもらう時に『開けるな』と言われていた。完全に邪魔なおみやげを渡して、余計なことをしないかどうか試す乙姫はマナー講師と呼べるのでは?
「いや、乙姫はマナー講師じゃないのでは???

「つまり、玉手箱を開けることがマナー違反かどうかが争点なんですか?」
「玉手箱は『開ける』『開けない』どちらがマナー違反なんだ?」
「浦島太郎の人生をかけたマナーだよね」

「この浦島太郎が『浦島太郎という名の漁師の男』なのか『語り継がれる説話のタイトル』なのかでまた評価が変わる」
「『浦島太郎』は『パンドラの箱』のように禁忌(タブー)にまつわる説話だよね」
「タブーを描く物語は、読者に『タブーを破ったらどうなるか』まで教えてあげないと説話としての意味がない。チェーホフの銃のように、物語に出されたタブーはタブーが破られるところも読者に見せないと作劇としてマナー違反だとすれば『玉手箱を開けるのがこの物語では正しいマナー』では?」

「でも、それはそうと浦島太郎とマナー講師のどちらが強いかは分からないな」

「これは……無効試合なんじゃないですかね?」

【革命】 マナー講師 vs 浦島太郎 ×【記念無効試合】

「ではマナー講師vs浦島太郎は無効試合だったということで」
「始球式みたいな記念試合だった」
記念無効試合でした」

【革命】 マナー講師 vs よく見たらそんな事はなかった

「よく見たらそんな事はなかったような無意図に対してとやかくイチャモンをつけるのがマナー講師です」
「でもマナー講師の言うマナーも『よく見たらそんな事はなかった』と同等じゃない?」
「じゃあ革命返しですね」

マナー講師 = よく見たらそんな事はなかった 【革命返し】

「質問なんだけど、こういうふうにあとから『革命でした』ってやるのはOKなの?」
「ここでは『より面白い方を採用』しています」
「大喜利ゲームだからね」
「じゃあOKです」

よく見たらそんな事はなかった < シルベスター・スタローン ◎

シルベスター・スタローンは見間違えようがないホンモノのスターです
「スタローンのパチもんは存在しない」
「スタローンは唯一無二」

「(説得タイム)このシルベスター・スタローンは『ランボー』その人ではなく御年74歳の俳優さんですよね。スターといえどもただの人、後ろから刺されたら殺されてしまうと思います」

シルベスター・スタローン < 無敵の人 ◎ (1抜け)

「通るけど、すごく悲しくなってきた
「ジョン・レノン殺害を思い出しました」
「失うものがない人は皆に愛されたスターを殺すことだって出来てしまう」

(閑話休題)
「浦島太郎は無敵の人より強いと思いますか?」
「わかんねえ」

無敵の人 < 現在(いま)を生きる意志 ◎

「無敵の人に足りないものはこれです。どうか自暴自棄にならないでほしい

現在(いま)を生きる意志 < 任天堂 ◎

「現在(いま)を生きる意志を束ねたものが任天堂です。面白いゲームを作ろうとする人々が集まって任天堂が成り立ち、任天堂の新作ゲームを糧にして、現在(いま)を生きる意志を固める人々がいるのです」
「任天堂、圧倒的に光属性

任天堂 > 因果応報 ×

「任天堂の法務部は強いからね」
「株式会社マ◯カーとか、コ◯プラとか」
話の方向を悪い方にしてくれ、そしたら因果応報で勝てるから
「この流れでは任天堂が圧倒的に光属性になってるからなあ」
「どことは言わないが他のメーカーだったら怪しかったかもしれない」

(閑話休題)
「浦島太郎は任天堂より強いと思いますか?」
「浦島太郎を題材にしたビデオゲームはまだ無いんじゃないかな」
「龍宮城にゲームを持ち込めないよね、亀の背中で移動中に水没しちゃう」
「龍宮城にはゲーム置いてないのか〜、いやだな〜」
「『浦島太郎』という物語の歴史は『株式会社任天堂』よりも遥かに長いけどね」

任天堂 < 光 ◎

「『光』というと壮大な感じがしますが、ここでは『部屋が暗かったらゲームできない』程度の意味合いです。部屋ひとつ照らす蛍光灯ぐらいの明るさです」
「暗かったら花札も遊べないからね」
「『また暗い所でゲームしてる!』とお母さんが怒る程度の『光』です」

光 = 闇 【革命成立】(2抜け)

「科学で考えると『光』と『闇』はどっちが強い? のか分からない」
神話的な善悪二元論では対になる存在なので光=闇」

【革命】 闇 > 因果応報 ◎ (3抜け)

「物語の結末として考えると、『因果応報END』は人間がやることに限られるので、その範囲は『闇END』よりも狭いです」
「っていうか『闇』は『光あれ』と言って天地開闢する前の世界なので、そもそも因果がまだ発生していない

【革命】 因果応報 > 浦島太郎 ◎ (4抜け)

「まあ、開けちゃいましたからね

〜 完 〜


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感想戦

「っていうか、『浦島太郎』の話は『因果応報』なのか?」

「『浦島太郎』について昔から思ってることがあって……
漁師の浦島太郎はタイやヒラメを獲って生活しているのに、なぜ亀を助けただけで龍宮城へ招待されたんでしょうか。本当は龍宮城に住む魚たちは浦島太郎が自分の家族の仇である漁師だと気付いていて、玉手箱で復讐を行ったのではないか? と僕は思っています」

「自分は、玉手箱についてまったく説明されていないから理不尽な話だと思う」
「プリミティブな民話にはそういう理不尽さがありますよね」

「『浦島太郎』にも色々バージョンがあって、亀と乙姫を同一の存在とみなし、玉手箱を開けた浦島太郎が鶴に変身し、亀である乙姫と鶴亀で結ばれる話もあるそうですよ」

「Wikipedia情報ですが、亀を助けたお礼に龍宮城に連れて行ってもらった仏教的な因果応報思想は近代以降に教科書に採用されるようになってから意図的に盛り込まれたそうです」
(引用元: 浦島太郎#考察 – Wikipedia

「マナー講師vs浦島太郎は形を変えて第二回戦があるかもしれない」
「民話・民俗学に詳しい人にこのへんの話を聞いてみたいね」

「いらない贈り物(玉手箱)を貰っても断らずに相手を立てているんだから、浦島太郎のマナーは良いのでは?」
「でも開けましたよね


ツイッタラーの愚かさに嘆いたり、言論はすなわち暴力であるという結論に行き着いてしまったり、『浦島太郎』の解釈に苦しんだり、スターを刺し殺す無敵の人に本気で悲しんだり、善悪二元論的な壮大な卓になってしまいました。

 

3回目にもなるとこのメンバーでの強いカードの傾向やカードの通りやすさがわかってきました。
理屈をこねて通すか、情に訴えるか、声の大きさで無理やり通すか、ベストな戦略は卓によりけりだと思います。

また革命時の対策に弱いカードを持っておくのも大切ですが、闇属性のカードだけでは場の文脈が光属性に偏った時に対応できなくなるので、バランスの良いデッキ作りが必要であると実感しました。

 

今回の私の手札は『ツイッタラー』『闇』『任天堂』『汚い金持ち』『よく見たらそんな事はなかった』でした。

語彙大富豪リプレイ記事はサイト内のタグ「語彙大富豪」でバックナンバーを読むことができます。合わせてご覧ください。

Author : 山川 夜高

山川 夜高

libsy 管理人。DTP・webデザインを中心とした文化的何でも屋。
このサイトでは自作品(小説・美術作品)の発表と成果物の紹介をしています。blogではDTP等のTIPSを中心に自由研究を掲載しています。
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