倶多楽湖(クッタラ湖)展望
ところで、北海道の空気はどことなくヨーロッパに似ている。そう感じるのは斜面に立つシラカバの樹皮の白さのせいだろう。中央ヨーロッパ・ポーランド南部の郊外(チェコ国境からオシフェンチム〜クラクフ)で、車窓の外にシラカバ林を見たことを思い出した。
シラカバは関東・東日本では高原で見かける樹木だ。たまに平地の公園などにも植えられているが、自然に植生しているものではないし、本数も少ない。関東平野に住む私には、シラカバのある風景は高原=避暑地や保養地=「遠く」へ来たという印象が強い。
紅葉した森のなかで、赤・黃・茶・緑の木の葉と同じように白い幹は目立っている。
ヒグマ博物館・お土産屋・下山
館内のヒグマ博物館では、ヒグマの剥製や年齢別の標本、冬眠時のねぐらの再現などが展示されていた。ヒグマによる農産物への被害や、ヒグマが人間を食害した事故も掲載されていた。(この博物館ではあまり頭に入らなかったので、東京に帰宅後、三毛別羆事件についての書籍『慟哭の谷』木村盛武・著 を読んだ。)
転じて、お土産屋の商品はポップだ。毎年行われているNKB総選挙の結果による「センタークマ」と「神セブン」を配置したクリアファイルなどが販売されている(NKB = Noboribetsu Kuma Bokujo)。なんだかこのノリはすごく“日本のお土産屋”という感じがする。
帰り道は、カップル向けと思われる、ハートとテディベアでデコレートされたファンシーなゴンドラが当たってしまった。
写真は撮れなかったが、ゴンドラからエゾシカを見た。
結局、山間でシマエナガは見られなかった。あきらめきれずにうろうろと見渡しながら歩くと、見慣れない小鳥を発見した。シジュウカラよりも少し小さく、頭は黒いベレー帽をかぶっているようだ。
「あれは何?」
「……わかりません」
「わかりません!?」
「たぶんコガラか……ハシブトガラのどっちか……」
コガラとハシブトガラは、どちらもシジュウカラの仲間だが、見た目がほぼ一緒・鳴き声が若干違うだけで、正直私には区別がつかない。どころか専門家も見た目での判断は難しく、鳴き声で区別するそうだが、私はコガラやハシブトガラの鳴き声を覚えているほどの場数を踏んでいないのでどちらにせよ同定できない。
ほぼ同じ見た目だが、コガラは日本列島の九州以北全国で見られ、ハシブトガラは北海道でのみ見られる。じゃあハシブトガラなのではないかと思うが、コガラは北海道でも見られる。
つまり…………
次回予告
VSヒグマの下りがめちゃくちゃ長くなってしまったので前後編に分けます。次はいよいよ温泉回ですがセクシーショットはありません。竜頭蛇尾の極みのような旅行記ですが、残りの日程の分もよろしくお願いします。