works / 作品

『Cipher』 文庫 176ページ
2014年4月29日 初版
2016年11月23日 改定第4版(画像・情報は改訂版のものです)

『これは物語ではない』3作目の販売書籍。
黒い紙に黒いインクで印刷された、解読困難の本。
人を癒やすためにお芝居を提供する街で、お芝居に飲み込まれる鬼才の俳優と、彼を見つめるジャズピアニスト。
二人の交差によってその街の何かが綻びはじめる。
物語を読むという行為それ自体への怒りと願いが向けられる。

詳細は『Cipher』特設ページをご覧ください。

特設ページ

link: Cipher

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 美しい男であるというのは誰もが承知することだった。生まれもっての端正な身体の比率もさることながら、内奥に潜む精力的な野心が、彼を端正な人形に留まらせず、自らを燃やす炎のように彼を彼たらしめたのだろう。好意の有無に関わらず、美しい男であるというのは揺るぎようのない事実だった。それでも彼の美を認めたくない人は、口を揃えて、恐ろしいという形容を選んだ。どちらも同じ意味だった。0は美しく恐ろしい。それは誰もが知っていた。

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link: 『Cipher』予告編

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 彼は、家の前の海で拾われた水死体だった。とてもきれいな身なりをしているからと兄が私に与えたのだった。死んで蒼白で痩せこけた彼は夜の水中のように深く暗いなにもうつさない眼をしていたので、いつからか私は水死体をヨドミ氏と呼んでいた。若い男の水死体だった。

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link: 『入江にて』予告編

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