これは物語ではない

誰よりもシュシュじゃない

 親が寝たころ、風呂に入ろうとすると外の階段を上がってくる音がして、うちの兄が帰ってくる。兄は高一だけどバイトしてるから帰りが遅くって、いつも親が寝る頃に帰ってくる。うちのことをちらっと見て「ただいま」ってひとこと言って、手を洗ってそのまま部屋にこもる。バイト帰りは絶対に音楽聴きながら帰ってくるから、うちらが何か言っても何も聴こえないっぽい。別にうちも言いたいことはない。うちがお風呂を上がったころ、家族の中で一番最後に、兄は風呂に入る。だから寝るのは一時か二時。いつも眠たげ。自業自得だ。

 心菜はお兄ちゃんいるのいいじゃんって言うけど、心菜には妹がいて、でも心菜はお兄ちゃんがほしいって言ってた。うちは心菜の方が羨ましかった。取り換えっこしようって心菜が言ったのが本当だったらいいのにってちょっとだけガチで思った。なんでお兄ちゃんがいいのって心菜に聞いたら「やさしくしてほしい」って言うからなんかおかしかった。頭ぽんぽんされたいんだって。バカだし。うちの兄ヒャクナナジュッセンチないから頭ぽんぽんとかないっしょ。心菜結局背ぇ高い人が好みなんでしょ? 学校で話すのは心菜と美優と絵里菜とかそのへん。あと春翔と凜玖と伶音とか。美優と伶音が今付き合ってる。バレバレ。うちはいない。春翔以外うちのクラスレベル低いよね? 頭も悪いし。学年最下位らしい。知らないけど。ルックスだってせめて光希先輩ぐらいがよくない? 心菜は微妙な顔してたけど。ひどくない? 悠大の方が微妙だろ。

 心菜の妹の心実は今小四だったと思う。髪の毛がすごくさらさらで細いし羨ましい。心菜のおさがり着てるみたいだけど、心菜の服カワイイから全然いいと思う。おさがりってあげる方も微妙な気持ちなんだって心菜はイヤみたい。ねたまれるから。でもいいじゃん。うちの兄からおさがりなんてないから、羨ましいよ。すごい、姉妹って感じじゃん。仲良し姉妹。

 風呂上がって、またメッセージが来てる。美優。はよ寝ろし。中指立てたスタンプを送ってうちはもう寝る。兄がシャワー浴びる音が聞こえる。あいつLINE嫌いなんだって言ってた。だから登録してない。不便。みんな使ってんのに変な意地張って。ほんと下らないこだわり止めてほしい。美優がずっと送ってくる。絵里菜とかまだ起きてんのかな。心菜もう寝てんだろうなあ。

 バイトがある日、兄は帰りが遅い。高校からチョクで行くから夕飯を食べない。でも週三だから、家でちゃんと食べてる日の方が多い。うちも高校入ったらすぐバイトするって決めてる。――漫然と朱夏はそう思っている。――

 朝、兄はぼそぼそと半寝でトーストを食べてる。短い髪型が寝癖でぐちゃぐちゃで、制服は黒いカーデとゆるいネクタイと腰パン、すごい普通。つか地味。「今日バイトあんの?」ってなんとなく聞いてみたらトーストもそもそしながら「ない」って、思いっきり寝起き顔で、ぼそぼそした喋り方で、全然かっこよくない。「なんで?」って逆に聞かれて何かむかついたから「いいじゃん」つって話ぶち切った。朝食べろって親が言うけど寝起きに食えないでしょ。常識。「ごちそうさま」って言って、兄が軽く食器をすすいでた。マジメ。暗いんだよね。ほんと。パッとしない。

 うちは前髪を横分けして、後ろ髪はピンでとめながらシュシュで左サイドにまとめた。髪染めるの禁止されてるからこう言う髪型しかできない。パーマもダメ。でもストパはいい。うちはストパ。うちも兄も髪の毛がチクチクして固い。たまに指に刺さる。詩音は髪が指に刺さったことなんてないって言ってたけど。詩音も髪サラサラできれい。詩音とはすごい仲良いわけじゃない。クラス一緒なだけ。秋の日差しも強いから、日焼け止めもちゃんと塗る。イヤリングもピアスも禁止。ピアスは穴あけたらバレるからあと一年も待たなきゃいけない。高校はいったら絶対ピアスあけるって決めてる。髪もちょっとだけ明るめにする。ネイルもちゃんとやりたい。兄はそう言う自由を全然使わない。バイトしてるだけ。ケチくさくない? あいつの方が早くうちを出るから鍵閉めるのはいつもうちの役。「行ってきまー」って小さい声で兄が言った。それでイヤホンを耳に詰めて出かける。いっつも何の曲を聞いてるかっていうと、最近の曲のなんて全然聞いてなくって、誰も知らないような古い曲ばっか聞いてる。センスが悪いんだと思う。ロクな趣味ないって知ってる。つか趣味とかあんのかな? 携帯かパソコンかたまに本読んでるだけ。テレビは下らないから見ないとか言って。自分がヒトと違うって思ってるんでしょ。

 いっつも遅刻ギリギリでうちを出る。中学まで徒歩五分。これだけが取り柄。

「しゅかープリント貸してー」って美優が来て、数学のプリントを見せた。美優は数学が全然できない。本当に遅い。前の授業中に終わらない。だってロクに授業聞いてないから。美優に貸したのに、木村もなぜか使ってた。何かムカついた。いいけど、勝手に使うなよ。

 英語の教師はブスのデブで発音も悪い。飽き飽きする。「ホズミさぁん」って当てられて、1段落目を読んだ。I think that「アイ シンク ザット」my sister must study more hard.「マイ シスター マスト スタディー モア ハード」

「ホズミ、英訳して?」

「私のきょうだいは、もっと勉強すべきだと思う」

「じゃあ続き、小池」

「アイシンク ソートゥー。バット シールックス ベリービジー。ビコーズ……」

 順々に後ろの席が当てられていく。

 この教師は兄も担当したことがあるから、うちに対して妙になれなれしい。去年はうちも兄も両方学校にいた。うちは、めちゃくちゃ珍しい名字で、八月一日って書いてホズミって言う日本に何人いるんだろうレベルの名字で、同じ名字の他人なんて同じ学校にいるわけなくて、だから学校にいる奴全員がうちと兄のことを知ってる。

 名字が嫌い。何やっても聞き直されたりして面倒だし、みんな変な目で見てるって知ってる。もっと普通の名前ならよかったっていっつも思う。佐藤みたいにありふれた名前でいい。でも佐藤と一緒はヤだ。

 その佐藤が、佐藤伶音が腰パンで指導されてるのを眺めている。凜玖がぐちぐち文句を言うのを心菜も超頷いてる。さっきまで隠れて携帯いじってた美優が、ハサミでプリを切って配ってる。美優と、心菜と、愛依羅と、伶音と凜玖と春翔と、木村が写ってる。え。何これ、うち誘われてないんだけど。

「土曜映画行ったのー」って美優が言う。

「木村も?」

「えどうしたの。蒼空もいていいじゃん」

「いや何か、木村キャラ違くね?」

「どしたの朱夏ウケる」

「えー次誘ってよ」

「ごめーん。マジウケんね」

 愛依羅と凜玖と木村が来たからうちは美優の席から離れた。前の授業寝てた伶音が「ホズミ、数学のプリント見して」って、

(――うるさいなぁ! 自分で考えろよ!!)

 マジでそう言いたかった。

「ごめんうち終わってない」って嘘ついた。

「えーマジかー」って伶音は心菜の方に聞きに行った。心菜はニコニコして見せてた。

 ……うちのこと何だと思ってんの? 宿題見せてくれる道具?

 その日はずっとイラついてた。自分でも分かってた。今誰かに話しても絶対キレるに決まってるから今日は一人でいることにした。

 うちは部活に入ってない。前テニ部だったけどやめた。絵里菜はまだテニ部にいる。絵里菜はがんばってると思う。絵里菜と最近遊んでない。部活で忙しいから。

 うちは一人で屋上に行こうと思った。でも屋上が開いてるわけじゃない。屋上に続いてる階段はコーンで「立ち入り禁止」になっていて、階段はホコリかぶってて、上履きで歩いたら足跡がついてバレるぐらいに汚い。屋上に上がる時はいつも、周りに誰もいないのを確認して、上履きを脱いで、つま先立ちで階段のすみっこを歩いて、バレないように気をつけてる。屋上の扉は開かないけれど、踊り場の窓から学校のまわりを見渡せるのがすごく気持ちいいし、一人でいても誰にもバレないから好きだった。ここがうちの隠れ家だった。誰にも邪魔されない場所だった。

 前、詩音とはち合わせたのはここでだった。詩音はここで本を読んでた。うちが来て、すごく驚いてたけど、うちも実は驚いてた。地味系優等生の詩音が立ち入り禁止の場所にいるって思ってなかったから意外だった。うちと詩音はすこし喋った。詩音の読んでる本のことを聞いた。「それ、うちの兄も読んでた」って言ったら詩音は「ホズミさん、お兄ちゃんいるんだー」って言った。うちは「ホズミじゃなくて、朱夏って呼んで」って頼んだ。「自分の名字きらいだから」

「じゃあ、しゅかちゃんって呼ぶね」

「何て呼べばいい?」こん時はまだ詩音のことを大川さんって呼んでた。

「うちも、詩音って呼んでいいよ」

「わかった、詩音」

「朱夏って名前、ずっとかわいいなって思ってたんだー」

 ちょっと照れた。その日はうちら友達になれた気がした。でも次の日教室で会ったときは、全然話をしなかった。なんでだろう? 昨日は話せたのに、次の日はすごくよそよそしい。ちょっと淋しかった。

 今日も屋上に行こうって決めて、階段の前で辺りを見回した。どっからか話し声が聞こえてきた。階段の真ん前の教室は、少人数授業の時だけ使う特別教室だから人がいるわけがない。ってことは、屋上に誰かがいるんだと思った。声は、美優と愛依羅に聞こえた。でも男子の声も聞こえた。木村っぽく聞こえたけどよく分かんなかった。うちは、一人になりたかったのに。この階段じゃなくて、廊下の向こうにあるもう一つの階段で一階まで下りて、もう帰ろうって決めた。でも廊下で体育の安江に出くわした。若い女の先生だけど生徒になめられないようにってかなり厳しい。こんにちはーって適当にあいさつしてうちと先生はすれ違った。うちが角を曲がって階段を下りようとした時、あれって思った。あいつら、屋上いるの安江にバレるじゃん。

「誰かいるの?」

 って安江が階段の上に向かって呼んでるのが聞こえた。明らかにキレてる声だった。

 バカじゃん。バレたらうちが困るのに。美優っぽい誰かは黙ったみたいで、安江をやり過ごした。でも絶対バレてる。マジでバカじゃないの? あいつらのバカのせいでうちの場所が奪われたんじゃん。

 うちは学校を出て、家の前を避けて、近所の公園のベンチに座った。まだ家に帰る気分じゃなかった。誰とも会いたくないから。

 かばんから携帯を出して心菜のつぶやきを見た。心菜から美優に飛んで、美優から愛依羅に飛んだ。愛依羅のつぶやきに、陰口があった。絵里菜が春翔に媚び売ってるって書かれてた。何これ? 絵里菜そういうことしないでしょ。春翔がテニ部だから仲良くしてるだけじゃないの? でも絵里菜、たしか前に愛依羅のこと嫌いってつぶやいてた。愛依羅、部活サボってばっかですぐ辞めたって。でも退部前の試合でダブルスの相手にすごい失礼なことしたって言ってた。それを絵里菜が自分のブログに愚痴ったのが教師にバレて、つか誰かがチクったんだと思うけど、絵里菜が指導を受けた。でも原因は愛依羅の方じゃないの? それから、伶音と美優が別れたことが書いてあった。美優が蒼空に浮気したからって書いてた。でも書いてあったのは美優に愛想つかされた伶音へのイヤミだった。伶音に対する悪口。でも美優は優しいから伶音とつき合ってあげてるフリしてあげてるって愛依羅は書いてた。美優の本命は春翔なんだって。それ二股なんじゃないの?

 それからこの前の映画のことが書いてあった。そこにうちのことも書かれてた。うちをヌキにしたのわざとだったって、うちが春翔のこと好きだからって書いてある。意味不明。ウソじゃん。春翔が一番マシって言ったかもしんないけど、それが好きって意味じゃない。そのくせうちが美優と仲良しぶってるのがウザイって。仲良しぶってるって、だって、美優とは幼稚園も小学校も一緒で付き合いが長いだけだし。何それ? 美優うちのこと嫌いなの? 当てつけじゃん。うちは関係ない。春翔なんてどうでもいい。浮気するお前の方が頭悪いっしょ。いちいちつっこんでくる愛依羅もどんだけ自意識過剰?

 木村が、うちのことをコメしてる。「優等生系吊り目のブス」。

 吊り目はテメーもだろ。うちの吊り目は、遺伝。親はそうでもないのに、うちと兄は吊り目が似てる。

 ホントに自分のこと嫌いになった。変な名前もブサイクも人間関係もなにもかも。

 何か全部イヤになって公園のベンチでぼーっとしてた。何もする気になれなかった。最近、日が暮れるのが早かったから、どんどん寒くなってったけど、本当に何もする気になれない。

 うちが愛依羅に階段から突き落とされるシーンを考えてた。意味のない妄想だけど。愛依羅が歪んだ笑い方をしてる。うちは、落ちる直前に踏みとどまって、愛依羅を逆に突き落とした。美優がうちのことを安江にチクった。うちは正当防衛だって言った。心菜がそれを安江にチクった。心菜?

(うちのこと馬鹿にしてるんでしょ。知ってる。年上好きのビッチって)

 ……何それ? 心菜、ホントはそんなこと思ってたの?

(うぜーんだよ、ハチガツツイタチ)

 木村。

(ウソみてーな名前だな。ブス)

「……ざけんな」

 妄想だって知ってるけど、それでもイラつくのが抑えきれなかった。こんなこと考えてしまう自分にもイラついた。うちも自意識過剰。あいつらに嫌われんのは恐くないけど、生きづらくはなると思う。毎日毎日顔合わせなきゃなんない。めんどくさい。というか、何もかもくだらない。

 この愛依羅の愚痴を教師に見せたら愛依羅を貶めることはできると思う。けど結局チクったうちのことはバレるわけだし、うちはますます嫌われて、愛依羅は1ミリも反省しない。クソだ。ムカついて、刺し殺したらうちは少年院送りになんのかな? 実感わかない。うちに帰りたくない。そういう気分じゃない。もうどこにも戻りたくない。誰のことも嫌い。このまま死んでもいいような感じがしてる。

 そしたら、向こうから兄が歩いてきた。はじめは誰かと思ったけど、短い髪と背丈とかばんであいつだって分かった。ほっといてほしかったのに、兄は「朱夏?」ってうちを呼んだ。うちは聞こえないふりをした。あいつは公園をつっきってうちのそばまで来た。

「何やってん」

「べつに」

「待ち合わせ?」

「カンケーない」

「あそ」

「ねえ、邪魔だから出てってくんない? うち今すごいイラついてんの。絶対誰にでもあたり散らす自信あんの。だからうちがキレる前に帰って。邪魔なの。ほっといて。一人になりたい」

「……あ、そ」

「だから早くどっか行ってよ。ムカつくんだよ! おめーにはカンケーねーから! 来んなよ! 帰れ!!」

 怒鳴りながら自分でも分かってた。もうあたり散らしてるって。思いのままにいかない自分の感情が、救いようのないバカみたいだった。泣きだしそうだった。自分が過剰にイラついてることが、でもどこかで不思議で、なんというか、怒ってるうちのことをもうひとりのうちが眺めてるみたいだった。泣きそうだったのにどこかがすごく冷静だった。はじめての感じだった。でも、そうやって、怒ってる自分を正当化してるんだ。

「あんさ、朱夏」

「何!?」

「なんかその、……気ぃ抜いてもいいと思う」

 何、それ。

「なんか、困ってるんだろ、たぶん。なんか、分かる。オレにもそういうのあった」

「……」

「オレ、中学すげー嫌いだった。でも中学なんて、狭いから。そん中が全てじゃないし、家族だって狭いし。

 別の場所見つけるといいよ。もっとマトモな場所、全然あるから」

「……ねーよ」

「いや、あったよ、意外に。オレ、別に家出だってしたっていいと思う」

「カンタンに言わないでよ」

「……まあ、簡単じゃあないけどさ。でも、案外あると思うよ。色々。一人でいても死ぬわけじゃないし。好きな歌手とかでもいいのかもしれない。

 つーか、寒いじゃん。帰ろ。

 あと、この公園不審者いろいろ多いからさあ。コンビニ寄って肉まんとか食おうよ」

「……それ、気ぃ使ってんの?」

「ぜんぜん」

「おごってくれんならいいよ」

「お前、高校生にたかる?」

「バイトしてんだからいーじゃん!」

「百円までしか払わねーけどな」

「中学生収入ないんですけどー?」

「だから百円は払うって言ってんだろ」

「ケチくさくない? 彼女いんの?」

「……」

 笑った。

「やっぱねー」

「……恋愛だけが楽しみじゃねーから! オレは、恋愛の枠の中にいたくないんだよ!」

「でも高校で彼女できないとか人生ダメじゃね?」

「…………そういうカクイツ的価値観が駄目なんだよなぁー」

「負け惜しみじゃん、バァーカ」

 コンビニ寄った帰り道で、兄の中学の頃の話をなんとなく聞いた。

「お前よりヒドかったよ」って言っていた。

「友達なんていなかったし、いろんなことが気持ち悪かった。だから高校マジで楽しい。マジでって程でもないけど、相当楽しい。お前が思ってるような高校デビューなんて絶対起こんないけど、でも色んな奴がいておもしろいよ、ホントに」

「ふぅーん」

「なんかさ、朱夏どうせ頭いいから、苦労してんだろうなって思ってたんだよ」

 ……それ褒めてんの? うちには分かんない。

「マジメにやってもしょーがなかったりするから、いい加減にして相手にしないことが一番な気もするから」

「でも、それって逃げとか負けとかじゃないの?」

「……そうかもしれない」

 そうっしょ? くやしいことは無くなんないんじゃん。うちは、きっと兄みたいに、あきらめて生きてくことは出来ない。まちがってることにはまちがいだって言いたいし、自分が正しいと信じたことをやり通したい。

「うちは……うまく生きるし」

 兄はもうなんも言わなかった。兄はたぶん、あきらめたんだと思う。それが大人になるってこと? わかんない。でもうちはまだあきらめたくない。

 帰って、帰りが遅い上に間食してきたことを親にめっちゃ怒られた。うちらは夕飯もちゃんと食べた。食べ終わると兄はすぐにいつもどおり自分の部屋にこもった。うちは、数学のプリントを嫌々やりながら、絵里菜に今週末どっか行こうってメッセした。それから、詩音のメルアドを聞いてみようと思ったけど、やっぱ止めて、しばらく携帯も見ないでぼーっとしてた。そんで、詩音と仲良くなれるか考えてみてた。よそよそしいかな? でもまあ、いっか。

 メルアド聞いてみよ。

多摩美文芸部部誌『T時B分』第二号収録作品

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