読まなくて良い自己紹介

海を背景に二十歳を越した大人がペンギンのマスクをかぶって佇んでいる写真

山川夜高 Yamakawa Yodaka / 1992.11.30 / 東京都出身

山川やまかわ 夜高よだかと申します。
多摩美術大学美術学部絵画学科卒(2014年度)油画専攻
印刷会社内のDTP・デザインをちょっとやったのち、現在は野良で活動しています。

自分がどういう人間であるか紹介するとき、性格は恣意的にどうにでも言えるものなので、紹介としてはあてにならないと思います。ですが自分の好きなもの……つまり自分が選択してきたものの傾向のほうは偽ることができないし、仮に私を知りたい人と思ってくださった人にも伝わるものが多いのではないかと思います。
2000年代半ば〜末期にかけて「1000の大好き」という企画があり(PCサイト / モバイルサイト)、なんでも好きなものを1000個箇条書きしてみようというのが個人ホームページ内で流行りました。
そんなことを踏まえながらマジで読まなくても良いレベルに長々と書き連ねられたのが下記の文章です。

趣味は野鳥(特に、山奥や僻地ではなく、住宅地に人間と一緒に生活している都市鳥)の観察と、クラゲ(特に、水槽できれいにライトアップされて回遊している飼育物としてではなく、港や汽水域のドブに浮かんでいる野生動物として)の観察です。
街中で見かけた鳥でしたら、特徴を言っていただければ「これかも?」と見当をつけることができるかもしれません。
特別好きな野鳥はハクセキレイです(尻尾を振りながらちょこまか走り回っている白黒のスマートな小鳥)。冬にカラ・コゲラ・メジロ・エナガ混群を追いかけるのも好きです。オナガの群れに出会すと嬉しくなります。
クラゲは木場公園の運河で見かけたミズクラゲを捕食するアカクラゲが衝撃的でした。クラゲのクラゲ捕食を見たのがはじめてだったし、おまえら汽水域でもかなり平気なんだな……と。

音楽を聴くのが好きです。弾くのも好きになりたいです。下手の横好きで FenderJapan のテレキャスターを買いました。
最初にスピッツを聴いて音楽を好きになったのでロックが多めですが、クラシックも機会があればもっと聴きたいと思っています。
耳障りの良い曲よりも、挑戦的な楽曲が好きです。その観点ではポップスやロックよりも、クラシックや現代音楽の方が実験的で面白いんですよね。
特に好きなミュージシャンと、そのなかで特に好きなアルバムを一枚ずつ書きます。

  • スピッツ:「三日月ロック」 言葉はスピッツで学んだと思う。夜が明けていく展望が気持ちいい。(ほか好きなアルバム「名前をつけてやる」「ハチミツ」「ハヤブサ」) 特筆して好きな曲は『愛のことば』かなあ。
  • People In The Box:「Wheather Report」 こういう創作者が一線で活動していることに果てしない勇気をもらう。「ぼくも もう いかなきゃ!」という気持ち。彼らの新作もステージアクトもいつも想像を裏切ってくれる。(聴き始めたきっかけはアルバム「Family Record」。収録曲の『アメリカ』『新市街』は聴けて本当に良かったと思っている)
  • スーパーカー:「スリーアウトチェンジ」 高校の頃ずっと聴いていたので想い出深い。好きな雰囲気はどちらかといえばB面の方に偏っている。「スリーアウトチェンジ」内では『TRIP SKY』、ほか好きな楽曲は『INTERMISSION』『NIJIIRO DARKNESS』『LAST SCENE』『New Young City』……暗い曲が好きなだけの気がしてきた。
  • COALTAR OF THE DEEPERS:「No Thank You」 収録曲の『Good Morning』を聴いて惚れてしまったあと初期のフルアルバム「The Visitors From Deepspace」を聴いて落ちた。SF作家のJ.G.バラードの作風のような寂寥感。一番好きな曲『Crawl to Me』はベストアルバム「THE BREASTROKE II」にしか収録されていないようなのでなかなか紹介できないのが残念。
  • he:「hir large crimps」 今までの人生で一番気持ちよかったライブは2014年? の新代田feverでのワンマンだった。テレキャスが、好きです。
  • the band apart:「街の14景」 CD買ってから数年後に改めて聴いた瞬間に大好きになった。心境の変化というより、いろんな作品を受け入れられる経験値が増えたおかげだったんだと思う。CDアルバムとしてひとつのまとまりのもとに収録された音楽の時間経過を聴くのが好き。『ノード』に惚れて買ったアルバムだったけど、『8月』がとても刺さった。
  • te_ri:「far east debug」 Fecking Bahamasのコンピレーションで知った。ステージでのMCもアルバムに収録してしまうのが、キース・ジャレットの声と似たものを感じる。エフェクターなしのテレキャスとドラムセットの2ピース編成で、エッジの利いた音なのにときどき甘いフレーズが来るのがたまらない。
  • Yes:「Close To The Edge」 プログレ四天王(?)を全部聴いたけどYesが一番好み。改めて語るまでもなく格好良いし、危うさと変則が好きということがプログレを聴くとよく分かる。『Siberian Khatru』格好良すぎる。
  • Keith Jarrett:「The Köln Concert」 ジャズはピアノトリオが好きでそっちのキース・ジャレットも良いんだけど引き込まれたきっかけはこのソロ演奏で、音楽って凄いなというのをものすごく感じる。入り込んでくる声が苦手という方もいらっしゃったけど、たしかに私も最初はどきっとしたが、だんだん薬味のような無くてはならない味に聴こえてきた。声のせいで気が触れているようにも聴こえるかもしれないけど、やっていることは滅茶苦茶アカデミックだよなあと思う。そういう意味ではジャズというよりもクラシックなような。
  • Godspeed You! Back Emperor:「Lift Your Skinny Fists Like Antennas To Heaven」 聴いていてこんなに美しく苦しくなる音楽ははじめてで、暗い高揚感に突き動かされる。通して聴いたあとは映画を観たような満足感がある。
  • Don Caballero:「World Class Listening Problem」 コマ切れになったギターや限界を極めているドラムスを聴くと本当に血湧き肉躍る感じ。ハードなことやっているのに、時々ギターが甘くドリーミーで好き。
  • American Football:「American Football (1999)」 マスロックのなかでも空中分解されていくマスロックではなく、細やかに合算されていくマスロックという感じ。ロックバンドのトランペットいいなあと思った。美しく寂しい音色。

(本を)読むのも好きです。知識として吸収するのも面白いし、なにより文章を頭のなかで組み立てていく没入感は代え難い。

  • アルベール・カミュ『異邦人』 話の筋よりも実は海辺の日差しの眩さの方が好き。人間は出来事に正当な理由がないと受け入れることができない。
  • フランツ・カフカ『変身』 こちらも淡々とした語りが面白い。慌てふためかなければならないような緊急時に、自分自身も家族も結局仕事の心配をしているというのが、2010年代の日本から見るととても近しいものを感じた。
  • ポール・オースター『幽霊たち』 初期三部作『ガラスの街』『幽霊たち』『鍵のかかった部屋』が好きで、特に『幽霊たち』はクールで良い。1989年発行の新潮社版(装幀・矢萩喜従郎)は行間と余白がとても広く、語りの淡白さをより強調していて好きな作品。
  • トマス・ピンチョン『競売ナンバー49の叫び』 『V.』『逆光』も読んだけど、量が多すぎて逆に読んだ気がしないんだ。読書の実感があるのは長くても『競売ナンバー49の叫び』『LAヴァイス』までかな……。『逆光』上下巻は自室のインテリアになっている。面白さを自力で見つけていかなければいけない読書の姿勢が楽しい。
  • スティーヴ・エリクソン『Xのアーチ』 異世界トリップファンタジー(?) ものすごく不規則な軌道の彗星を追うような読書だった。物語の描線自体がXの軌跡を描いている。
  • アンナ・カヴァン『氷』 これも書き方に対して感嘆した作品。そこで描写を巻き戻してもいいんだと。巻き戻し型の小説は上述『Xのアーチ』『氷』のほか、ファン・ルルフォ『ペドロ・パラモ』、トニ・モリスン『青い眼が欲しい』もそれぞれ違う方法で書いていてそちらも良かった。
  • リチャード・ブローティガン『アメリカの鱒釣り』 滅茶苦茶良かった。私は野生の野鳥やクラゲを見るのが好きだけど、そのときに感じる野生と自分の強制性のないやりとりだとか、森や水辺が美しいということの全く気取らない描写にものすごい多幸感を抱いた。
  • 宮沢賢治『新編 宮沢賢治詩集』 人間以外の生物のもとにいる安らぎと畏怖で言えば、上記『アメリカの鱒釣り』より先にこちらを読んでいる。例えば宇宙や鉱石を「きらきらしてきれいなモチーフ」としてではなく、現象の対象として研究しきった上で更に詩性を見出さずにいられない、というような科学ありきの姿勢が好ましい。
  • J.G.バラード『終着の浜辺』 SFのなかではスリップストリームが好きで、特にこの短編集の冷たさが好き。表題作の『終着の浜辺』は、最初に読んだ時は何の味も感じられなかったけど、いま読み返すとまるで現代音楽のように上質な無意味の手触りだけを楽しめてとても良かった。
  • 村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』 『1973年のピンボール』も好き。連作では実は『羊をめぐる冒険』だけ読んでいないんだけど……。『ダンス・ダンス・ダンス』は連作のなかでも救いを得ようと前進していく様子が好き。

すべての作品はなんらかの先行作の影響下にあります。言い換えれば、純粋にオリジナルな作品は存在しないということです。
オリジナリティは単一の存在(それが何である﹅﹅﹅﹅か)ではなく、多くのなかから何を選んできた﹅﹅﹅﹅﹅かに宿っていると思います。
例えば「音楽が好き」な人や「野鳥が好き」な人はたくさんいますが、「こういう音楽が好きでこういう野鳥が好き」という選び方をした人間は恐らく私だけで、それが私のオリジナリティだろうと思います。
「音楽」など、単一の分野の知識では何年もやってきた人には敵いません。でも「音楽」と「野鳥」を組み合わせて総合的な判断ができるのは私だけの長所だろうと思います。(その選択の多様性がオリジナリティです)
選んできたものの多様性を武器に、今後とも頑張っていこうと思います。

最後にひとつだけ。座右の銘はヘンリー・ミラーの言葉 To paint is to love again です。「描くことは再び愛すること」と訳されています。絵を描いているときによく思い出す言葉です。
この言葉は作家の青野聰氏から教わったのですが、それには続きがあって、 To write is to live again (書くことは再び生きなおすこと)と続くそうです。しかし調べても後の句のほうの出典が見つからないので、もしかしたら創作か私の記憶違いなんじゃないかとも思います(情報求む)。
ヘンリー・ミラーは絵描きであり文筆作家でした。絵と文章両方の創作を表すこの言葉が座右の銘です。

最後までお読みいただきありがとうございました。このページは2017年12月12日に編集されました。このページは不定期に更新されると思いますので、忘れた頃にまた見に来ていただくと楽しいかもしれません。

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